誰にだって可能性はある
~適材適所で働く社員たちのこと
白井 美佐子氏 (株)明治ライアス
社員に価値ある人生を
愛知県立一宮東特別支援学校は一宮市にある知的障害のある生徒たちが通う学校で、小学部・中学部・高等部があります。今回PTAの方から、子どもたちの「できること」を一緒に探し、「得意なこと」に成長させていく関わりを学びたいとの依頼があり、明治ライアス・代表取締役の白井美佐子氏に講師をお願いしました。
明治ライアスは飲料とリネンサプライの流通業で、年間365日稼働しています。そのため多くの人材が必要で、現在90名の社員が活躍しています。白井氏は、経営理念「全員の幸せ」を目指し、一人ひとりが価値ある人生を生きることを願い、社員と関わってきた経験から報告しました。
同社は毎年採用を続けており、面接では数多くの人と出会います。勉強ができる人、地頭が良い人、話す中で『障害があるのでは』と感じる人もいるといいます。どの人も採用時に、「本人のやる気」と「家族の応援」を確かめるのは、安定して働くにはこの2つが不可欠だからです。
社会の中で生きる力
社員教育では、その人のペースに合わせ1つずつ、できたら褒め、自信をつけて次にチャレンジします。
入社時、電卓が使えない、手話もあいまい、声は出ても「うん」としか言わなかった聴覚障害の社員は、半年で返事が「はい」に変化。1年経った今、細かな請求書を扱う部署の責任者になりました。
体力がなく、配達だけでフラフラになっていた発達障害の社員は、挨拶ができるようになり、配達本数を誰よりも正確に記憶し、周囲から頼りにされるようになりました。1人ずつをよく見て、次のステップを考えていけば、可能性は伸びることに確信を持ったと白井氏はいいます。
保護者の方々には、「世間の冷たい風に少しずつ慣れさせ、守りすぎないように」「子どもには魚を与えるのではなく、釣る力をつけるようサポートを」と勧め、一方で「愛情のこもった『抱っこ』で、子どもは自信を持ち、安定感が生まれる」と語ります。「人間関係を築く上で、身ぎれいなこと、笑うことも大切な要素。家の中で温かいことばを使い、子どもたちの心の栄養を満たしてあげてほしい」と結びました。