活動報告

障害者自立応援委員会「人間性を語る夕べ(2)」12月14日

人生を通して考えてきた「人間性」、同友会で育てられた「人間性」

石田 典子氏  (有)ニシカワ運輸

幼少期から経営者になるまでの人生を語る

会員の人生観から学び合う「人間性を語る夕べ」。「科学性、社会性、人間性」の「人間性」が最も集約され、話題となり、自らの課題に気づく場として開催しています。

頑張って生きて

報告者の石田典子氏(ニシカワ運輸・代表取締役)は岡山県出身です。NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で親しまれている柔らかな岡山弁で語りかけ、一気に参加者を石田氏の故郷へと引き込みました。

幼少期は大変なお転婆で、山の中を男の子と一緒に駆け回り、真っ黒に日焼けしていたそうです。毎年、蚕の世話をするため祖母の実家まで山道を歩くのですが、途中に薄暗い場所があり、いつも筵(むしろ)を被った人々が弱々しい声で「お恵みを」とつぶやいているのでした。

幼い石田氏は怖くて足が竦んでしまい、ギュッと祖母の手を握りしめました。すると祖母はこう語りかけました。「典子、今はこどもだから何にもしてあげられない。けれど、心の中で『頑張って生きてね』と声をかけてね」。

この祖母の教えが自身の価値観の根源であることに気づいたと、石田氏は言います。

人として対等に

ヘルパーとして、車椅子の女性をサポートすることになった時のことです。石田氏は、彼女の言葉に圧倒されました。-「ボランティアって良い響きですよね。でも私は、自分の都合優先のボランティアは要りません。真剣に生きる私の足になってください」-なんて強い女性なのだろう。石田氏は懸命に彼女の暮らしを支え、人として対等に関わることを学んでいきます。

50歳で主婦から経営者の道を選び、運送業で女性の能力を存分に発揮できる会社を目指しました。起業から5年後、同友会に入会しますが議論されていることが全く理解できなかったという石田氏。そしてリーマンショック時には7名を解雇せざるを得ませんでした。後に経営指針を学び、解雇した人たちの人生を思い、悔恨で涙が止まらなかったと振り返ります。

今、面接で会社に来る人とは人生を語り合います。同友会で常に謙虚に学び続ける大切さを身につけたと言う石田氏。2021年度、ニシカワ運輸は「豊田市はたらく人がイキイキ輝く事業所表彰」の「イキイキ優秀賞」に選ばれました。石田氏の学びと実践はこれからも続きます。