活動報告

ダイヤモンド部会(3月23日)

超高齢社会の終末準備は大丈夫?
~予期せぬ出来事に備えて

立木 勝義氏
弁護士法人名古屋北法律事務所
(一社)権利擁護結福祉ステーション

人間らしく生きられる社会にしたいと語る立木氏(奥・左から5人目)

高齢者にとって今、どんな社会か

急激な少子高齢化と無縁社会化が進んでいます。1人暮らし高齢者や高齢世帯、また認知症高齢者や親亡き後の障害者が増加。オレオレ詐欺など特殊詐欺被害者の85.7%が高齢者です。(警察庁「令和2年度における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」より)

名古屋北法律事務所の立木勝義氏は、血縁、地縁、社縁が薄くなり、生活の不安を感じる高齢者が増えていると考え、権利擁護団体として第4の縁になれるよう、身元保証、日常生活支援、金銭管理、終焉支援等の活動をしています。

自らの生き方を尊重できるように

団体名に入っている「権利擁護」には、目的を明示して活動したいという立木氏の想いが込められています。権利擁護とは、本人の生き方を尊重し、自分の人生を歩めるようにするという本人の自己実現に向けた取り組みを保証すること。しかし、権利擁護の団体も様々で、パンフレットが立派でも中身が伴っていない団体があると、立木氏は指摘します。

高齢者自身が事故や病気など予期せぬ出来事に備えることが必要だと呼びかけ、権利擁護団体を利用する際には、「権利擁護の立場からの支援か」を見極める大切さを話しました。

自社が「生存権」を保証する縁になる

団体を立ち上げて4年余り、現場の最前線で見えるのは、貧富の差、縁の薄い社会、そこで生きる高齢者の悩みや孤独です。買い物が困難、介護保険の利用方法が分からない、いざという時の相談者がいない等の声を聞き、不安を抱えて生きていることをまざまざと感じるといいます。

近年、「8050問題」が取り上げられるなど、高齢者の生活が大きな社会課題になっています。愛知も例外ではありません。今年2月、名古屋市で親族などの身寄りがなく死亡した13名の遺体が最長3年4カ月にわたり火葬されず、冷凍で眠っていたことが報道されました。

そうしたなか、最後の砦は憲法第13条「幸福追求権」と第25条「生存権」だという立木氏。自団体が、高齢者の身の回りの事態が深刻化する前に、暮らしのなかで生じる「不安」や「負担」の段階からサポートし、最期まで人間らしく生きられる社会にしていきたいと語りました。