活動報告

障害者自立応援委員会「人間性を語る夕べ(4)」4月12日

私の人生観 2つの大事なこと

夏目 学氏  (株)夏目デザイン

夏目 学氏

会員の人生観から学び合う「人間性を語る夕べ」。経営の「科学性、社会性、人間性」の「人間性」が最も集約され、話題となり、自らの課題に気づく場として開催しています。

コツコツと素直に

報告者の夏目学氏は、3歳から15歳まで小児ぜんそくを患っていました。発作は苦しく、望みを失う夏目氏に、医者は「体力をつければ大丈夫」と励まします。高校でマラソンを始めると体力がつき、ぜんそくは次第に治まりました。コツコツと練習を続け、やがて名岐駅伝の選手に選ばれます。夏目氏は、「この時初めて、生まれてきてよかったと思えた」と当時の気持ちを噛みしめるように語ります。

熱血指導の監督は、正しい生き方と人生観を教えてくれました。ある時、先頭集団に食らいつき必死に走ると、監督が皆の前で「今日の夏目の走りは素晴らしかった」と褒めてくれました。夏目氏はますます素直に監督のアドバイスを吸収し、3年時には学内で一番速い選手になっていました。「コツコツと」「素直に」この2つが夏目氏の生きる喜びにつながったのです。

どん底を経験して

独立して開業した時、お客様はなく、営業は全くの素人で、たまに入る仕事は利益が薄く、赤字は7年間も続きました。膨らんだ借金は返すあてもなく、途方に暮れたどん底の時、同友会に入会します。悩みを親身に聞いてくれる会員たちに囲まれ、夏目氏は必死に学びました。

6カ月で経営指針を作成すると、売上げは倍になり、創業以来初の黒字を達成できました。母校から1人の新卒採用をして、とんとん拍子に思えた頃、社員からの退職願いに愕然とします。再び独りになった夏目氏は、同友会で学ぶ中で社員が辞めた原因は自分にあったことに気づき、経営理念を見直しました。

今、19名を雇用する夏目氏は、「経営者の醍醐味は社員を育てること」と言い切ります。新入社員教育では、「親への感謝、褒められる、謙虚になる」、この3つが実感できる工夫をしています。子どもの頃のぜんそくや経営でどん底を味わい、「苦しみ、もがき、今がある」と夏目氏は報告を締めくくりました。