活動報告

障害者自立応援委員会(6月14日)

ここから物語が始まる
~障害者雇用実践報告(前編)

吉田 幸隆氏  エバー(株)

吉田 幸隆氏

職場実習の受け入れ

エバー社長の吉田幸隆氏は、今年の6月に地元の特別支援学校生徒の職場実習の受け入れに踏み出しました。

同社では、13年前に人材不足から障害者雇用を考え、地元の面接会で意欲ある障害者と出逢いましたが、社内体制が不十分で定着には至りませんでした。

その後、経営指針発表会の後で、聴覚障害のあるパート社員から「私が参加する意味はありますか」と問われ、中途採用者やパート・派遣社員に対し、会社の理念や方針はさておき、「できることだけやってくれればいい」と安易な姿勢で雇用していたことに気づきます。

今回の職場実習も不安が無かったわけではありません。しかし、2週間の実習を終え、関わった社員たちが実習生に「エバーに来てくれてありがとう」と声をかける姿に、胸を撫でおろし、社風の変化を実感したと言います。

3つの疑問

しかし、具体的に障害者の雇用を想定すると、現実的な課題が浮かび上がってきました。「もしかすると自分は、聞こえの良いことばを並べ、口先だけで人間尊重経営を語っていたのではないか」、そんな思いが湧き上がり、報告では率直な疑問を3点投げかけました。

1つ目は、「会社の理念・方針・ビジョンを理解することが難しい求職者の採用をどう考えるか」――これは、その人の能力やスキルだけを求める採用姿勢を目にしたことからの疑問。

2つ目は、「障害者雇用を通して、社内の変化を期待することは正しいのか」――これは、障害者雇用に何かしらのメリットを期待してしまう自分への戒めから出た疑問。

3つ目は、「社員がさじを投げた時、社長は何をしなければならないか」――これは、社内で揉め事が起きた時、自分はきちんと対応できるかという不安から生まれた疑問。

これらに対し、吉田氏を唸らせたコメントが返ってきます。(以下、次号に続きます。)