活動報告

共同求人委員会(7月5日)

困難を理解し、個性を大切に
~愛知工業大学との情報交換会

困難を抱える人の採用に関する(株)加藤設計のスタンス

受け入れ企業の事例

7月5日に愛知工業大学との情報交換会が行われ、約30名の会員企業が参加しました。学校からの情報では、コミュニケーションに苦手意識を持つ学生が増えているとのことです。受け入れる企業側がまずは理解することが必要だと感じ、今回の情報交換会が企画されました。

受け入れ企業からの報告では、3月の合同企業説明会に先生自らが学生を連れてきたこと。学生の背景を知ることで理解が深まった結果、入社が決まった。そうした事例が加藤設計の加藤昌之氏より紹介されました。

同社では事前に学校から配慮が必要な点を聞き、明確な指示を行うこと、口頭だけで伝えるのではなく文字や図などで情報を視覚的に示すことを徹底しました。約2週間の研修を経て、仕事に対する本人の熱意や、家族も協力的だったことなどが入社の決め手となりました。作業を始めると集中しすぎてしまうため、小休憩をはさみながら無理をしない働き方を進めているといいます。

加藤氏は、オールマイティの人材はいないということを忘れず、個性を大切にした、その人に最適な仕事を見つけることが経営者の仕事だと考え、社員に接しています。

経営者の役割はポジションづくり

加藤設計がこうした柔軟な対応ができたのは、過去にも困難を抱える学生3名の採用経験があったからです。その3名のうち、1人は残念ながら退職してしまいましたが、1人は入社10年目となり、主任として部下を指導する立場にいます。もう1人は昨年独立し、同社の立派なライバル会社となっています。

退社に至った1人については、経営者である自分があまり関われていなかったことに原因があると、加藤氏は感じています。どのような困難を抱えているのか理解しないまま、1年で上司が変わるなど環境を変えてしまったことで、社員の能力をうまく引き出せなかったといいます。

加藤氏はこうした経験を踏まえ、配慮すべき点は社内の共通認識として周知しながら、社員と向き合うことの大切さを語りました。

重要なのは、コミュニケーションに困難を抱える人でも会社の理念に共感し、「ここで成長したい」という意欲さえあれば、社内でいくらでもその人のポジションはつくれるし、それが経営者の役割であるということであり、「受け入れる企業側の力量が試されている」と、加藤氏はまとめました。