活動報告

障害者自立応援委員会(10月11日)

ここから物語が始まる
~障害者雇用の実践報告

笠原 尚志氏  (株)中西

社屋の前で社員と一緒に(前列左端が笠原氏)

運命の出会い

ビン・缶等のリサイクル収集運搬業、中間処理業を営む中西は、社員数70名のうち34名が障害のある社員です。同社は1964年、空ビン商としてスタートしました。その10年後にアルバイトで入社した笠原尚志氏は、大学時代に知ったオイルショックをきっかけに、エネルギー問題に関心を持ち職を転々とする中、同社に辿り着きました。当時は3Kの極みと言われた仕事に、家族は猛反対。一方で笠原氏は、仕事の奥深さに魅入っていきました。

創業者の中西均次氏は、ビンのリユースに取り組むゆたか福祉会とつながりがあり、自社での障害者雇用を模索していました。当時、環境問題だけに関心があった笠原氏は、障害者の横で手取り足取り仕事を教え、その成長を心から喜ぶ創業者に「なぜそこまでするのか」と疑問を投げかけます。すると、「重い病から生還し、会社もそれなりに成長した。だから社会に恩返しをしたい」と答えが返ってきました。

かけがえのない人生

その後、徐々に障害のある社員が増えていきました。先代が体を張って示してくれた「人間の可能性の追求」。最初はスムーズにできなくても、地道に少しずつ教えれば必ず成長する――それは笠原氏の確信となっていきます。「手のかかる子ほど成長が嬉しい」と語っていた先代の精神を受け継ぎ経営理念を作りました。一緒に働き仕事をする中で、健常の社員も人間的に成長しています。

社員一人ひとりに関わりのドラマがあり、実践報告からは「誰もが自分の人生を精一杯生きてほしい」、そんな願いが伝わってきました。