活動報告

【連載】学ぼう、なくそう、ハラスメント(第4回)

セクハラの定義や類型、発生の背景

《過去3年間にハラスメントを受けた経験》

約1割の人が職場でセクハラを受けている(厚生労働省令和2年度調査報告)

職場におけるセクハラとは

男女雇用機会均等法(以下、均等法)にセクシュアルハラスメント(セクハラ)の定義と防止措置について盛り込まれて10数年、「セクハラ」という言葉の認知度は上がり、職場でのセクハラは全体として減少傾向にはあるものの、依然として後を絶たないのが現状です。

セクハラは職場環境を悪化させる雇用管理上の大きな問題で、絶対に許されることではありません。今回は職場におけるセクハラの定義や類型と発生の背景について触れていきます。

均等法では職場におけるセクハラについて「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」と定義しています。

職場におけるセクハラは「対価型」「環境型」があるとされています。それぞれ一例を示すと、「対価型」では、体を触ったり無理やり食事に誘ったりして断られた・抵抗された場合に、嫌がらせを行うこと。また「環境型」では、性的なからかいや「性的にふしだらだ」などの噂を流すこと、度々体を触る、ヌードポスターを掲示することなどで、就業環境が不快となり業務に悪影響を及ぼすことが挙げられます。

《過去3年間にハラスメントを受けた経験(男女別)》

女性の方が被害者が多いが、男性の被害者も少なくない(同調査)

誰もが加害者・被害者になり得る

セクハラは事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒なども行為者になり得るものです。男女とも加害者にも被害者にもなり得るほか、異性に対するものだけでなく、同性に対するものも該当します。また被害者の性的指向や性自認に関わらず、性的な言動で不快を与えるものはセクハラに該当します。

さらに、日本で根強い性別役割分担意識、例えば「雑用は女性の仕事」「男のくせに根性がない」などの言動は、セクハラやそのほかのハラスメントの背景にもなっています。

セクハラは加害者側にハラスメントという自覚がないケースも非常に多く、また被害者も何をしても解決にならないと思って何もしないケースが最も多いことが分かっています。組織としての防止・対応措置だけでなく、ジェンダーバイアスも含めたハラスメントに関する意識や知識を高める取り組みが非常に重要です。

参考:「あかるい職場応援団」ハラスメント学習動画「セクシュアルハラスメントの防止に向けて」
 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/movie/9-6