活動報告

2023年合同入社式 記念講演(4月3日)

私の人生設計
~この社会をどう生き抜くのか

白井 美佐子氏  (株)明治ライアス

新入社員にエールを送る白井氏

4月3日、会員企業64社から157名の新入社員が参加して合同入社式が開催されました。明治ライアスの白井美佐子氏による記念講演の概要を紹介します。

今こそ人生のスタートライン

ご入社おめでとうございます。今日の日をどんな気持ちで迎えられたでしょうか。不安や期待が入り混じり、緊張している人も多いと思いますが、今日が皆さんの社会人生活のスタートラインだということは共通しています。

私は皆さんと同年齢の頃に大きな挫折を経験しました。大学生になり、何が正解かわからない課題につまずき、提出物の締切も守れず期日管理ができませんでした。私生活も全てがうまくいかず、他の学生と比較しても遅れを感じ、落胆していました。

そんな時、鏡に映った自分を見て「なんて悲しそうな顔をしているのか」と思いました。そこから「こんな状態のままでは嫌だ」「どうしたら良い人生を送れるのか」を考えるようになりました。なんとかしたいという気持ちが原動力になり、自分自身のアンテナがピンと張り、次第に行動も変わり、悶々とした日々から抜け出すことができたのです。

過去、現在、未来の自分

過去の自分、今の自分、未来の自分を想像してみてください。これまでは、親の経済力、住む地域、学校、取り巻く人間関係など、自分の力だけではどうにもならない環境で育ってきたと思います。今の自分は過去の環境や経験によってできているのです。

自分がいつどのように満足感を得ていたのかを把握するために、満足度(縦軸)と年齢(横軸)のグラフを描いてみてください。自分の過去を思い出して、いかがでしょうか。これまでの人生において、満足度が高い時期と低い時期を比較して、何によって満足度が上下するのかを考えてみてください。

例えば、友人との人間関係が満足度に強く影響している人は、社会人になっても同じように人間関係に左右されやすい傾向にあると思います。

周囲の人の助けを得て満足度が高まる傾向の人は、自分の力で満足度を上げるために何が必要かを考えてゆくようにすると良いと思います。

このように分析してみると、満足度は人それぞれ違うことがわかります。社会人になると、会社側が1人1人の満足度に合わせて仕事等を調整してくれることはありません。これから先の人生を、今の満足度からもう一段階上げて充実した人生にしたいと思いませんか。過去は変えられませんが、未来は自ら変えることができます。

未来の自分をイメージしよう

1人1人、これまでの経験の差はあると思いますが、大した差ではありません。未来の自分をイメージしてみましょう。自らの心は自らで育てていくものです。心を支配している価値観を認識しておくことで、対策も打てます。自分の顔を鏡で見て、「やればできる」と言い聞かせてみてください。

私は、学生時代から華やかな生活に憧れていました。裕福な暮らしをしている友人と仲良くしたいと思っても、自分がそのレベルに達していなければ仲間に入れませんでした。新たな世界を見てみたいと思い、いろんな勉強をして自らのレベルアップを図りました。

社会人になると、相手が自分に合わせてくれるということはありません。学生時代は受け身でもよかったことも、社会の中では頭を使って考えていかなければなりません。働く中で解答のない問題にぶつかり悩むこともあると思いますが、日々の経験や勉強の積み重ねで、いざという時の知恵を蓄えることができます。苦境に立つと、過去の経験や潜在意識の中から知恵が湧いてきます。

真剣な眼差しで聞く新入社員

夢や目標をまず書き出してみて

私はこれまで目標を達成できなかったことは一度もありません。目標達成できない人には3パターンあると思います。1つ目は、夢や目標を掲げても、具体的な行動がわからない人です。2つ目は、具体的な行動ができない人。3つ目は、行動してもすぐに諦めてしまう人です。

夢や目標を達成するために、まず紙に書き出してみてください。目標から1つずつひもといていくと、具体的なやるべきことが見えてきます。それを諦めずに、自分を励ましながら続けることで、目標は達成できます。

「継続は力なり」

私は小さい頃スイミングスクールに通っていましたが、習得が遅く、なかなか泳げるようになりませんでした。ひたすら練習を重ねて、小学校の高学年になってようやく泳げるようになりました。

すると、日頃の練習を見ていた先輩から水泳部に誘われました。私は「速く泳げません」と伝えましたが、「毎日努力していたから大丈夫」と背中を押してくれたので、入部しました。そして、大学生の頃にはスイミングスクールでコーチのアルバイトをするまでになれました。

何事においても1つ1つ積み重ね、時間はかかってもその分野でできる人の平均よりも少し上回るまでやり続けることです。それが自分の自信につながるのです。

私の人生設計

私は20歳の時に人生設計を考え、豊かな暮らしをするために、経営者になることを決意しました。30歳で経営者になることを目標に掲げ、逆算しました。それまでに結婚と出産をしておいた方がいいと思い、25歳で結婚、27歳で初産、29歳で第2子出産、30歳で経営者となりました。目標達成のために行動した結果、全て計画通りに実現できました。

目標を立て、実現するためにどうしたらよいかを考え、真面目に愚直に行動することが大切です。30歳で経営者になるために同友会に入会し、経営の勉強や、人としてどうあるべきかも学ぶことができました。諦めなければ必ず達成できます。

目標を達成するには、心の問題も大きいと思います。どんな小さなことでも「やってみよう」と自分に言い聞かせ、挑戦してください。そして、周囲に目標を宣言してみてください。すると、目標を聞いた人が気にかけてくれるようになります。他人に宣言することで目標達成を加速させ、協力者が増えます。

皆さんは、自分の人生の経営者です。目標を達成するために、いかにして人を巻き込むのか。この人のためなら力になりたいと思ってもらえるような人物になるにはどうすればよいのでしょうか。

人間関係をどうつくるのか

自分にとって価値のある人間関係を考えたことがありますか。私が人間関係において気を付けている点は、その人の言っていることと、やっていることが一致しているかどうかです。「見て、聞いて、考える」を繰り返します。おのずと誰の言葉を信じればよいのか見えてきます。

自らの発言も、相手を落とし、自分を浮上させるための発言になっていないかよく考え、自分の役割やポジションに沿った発言をするようにしています。日頃の積み重ねで恵まれた人脈を築いてきました。皆さんも豊かな人間関係を築いてください。

人格と「社格」

私が30歳の時に父が他界しました。46歳の時に夫も亡くなり、母子家庭になりましたが、子どもたちと逞しく強く生きています。

社会人になると、人間関係の年齢幅が変わります。世代の異なる人と付き合うことで世界観も広がります。父は、自分の経験を私に託せなかったことが心残りだったようです。その人が生きてきた経験談は、とても貴重です。そして経験が人をつくります。

明日からは、学生の頃には関わりを持たなかった人とも話をしてみてください。そうすることで、人としての器も可能性も広がります。

誰しも長所が必ずあります。見つけられないなら自分の発見能力が足りないのです。外見や第1印象で決めつけずに、多くの人と関わってみてください。企業も「社格」を上げるために努力を続けています。「社格」は人格の集合です。皆さんは、様々な経験を通して人格を向上させることが大切です。

覚悟を決める

入社した企業が第1志望ではない人もいるかもしれません。それでも、与えられた仕事に対して誠実に取り組み、結果を出していくことが大切なのです。集中して全力で取り組むことで、結果が出てきます。

簡単な仕事ほど差が出ます。些細な仕事もおろそかにしないことです。そうすることで、次のチャンスが巡ってきます。1つ1つの経験を自分の糧にして成長してください。「やりたい仕事と違う」という言い訳は通用しません。この会社で働くという覚悟を持ってください。

会社は「人生の学校」

良いものを取り入れ心と体を育てる

社会人になり、辛いと感じることもあると思いますが、それは、これまで周囲の大人に守られてきた証拠です。これからは、守られる人から守る人へステップアップしていってください。

会社は、皆さんが育つ場所を提供してくれます。人生の学校だと思って、どんなことにも全力で挑戦してみてください。また感情的になった時は一旦発言を控えて、深呼吸をしましょう。池の水面のように穏やかな状態でないと冷静な判断はできません。

これからは「生きる力」が試されます。品格、人徳、才能、健康は、お金では買えません。自分の力で養っていくしかありません。日頃から良いものを意識的に取り入れて、心と体を育てることに集中してください。人として生を得たことに感謝して、人、物、金、環境を大事にしてください。

ここにいる経営者の方々も皆さんの成長を温かく見守ってくれます。自分の可能性を信じて、アグレッシブに行動してください。

皆さんの人生がエキサイティングな時間となりますように応援しています。

【文責:事務局 伊藤】