活動報告

障害者自立応援委員会(4月11日)

ここから物語が始まる
~障害者雇用の実践報告

磯村 裕子氏  サン樹脂(株)

検査業務に集中するOさん

雇用の価値観

サン樹脂は工業用プラスチック製品を製造する会社で、働く人の個性を大切にする風土を目指しています。

磯村裕子氏は、障害は個性ではなく、障害を含めた一個人と捉え、その人が働きたいか、自社が働いてもらいたいかで雇用を考えます。

パート社員のIさんは、真面目でコツコツと仕事に集中し、周囲から信頼されていましたが、次第に話がかみ合わなくなり、聴覚障害であることがわかりました。幼い頃からつらい思いをし、障害を隠して入社したことを知った磯村氏は、全社員に障害を正しく理解してもらおうとIさんを説得します。

その後、社員たちは身振り手振りを加えわかりやすく話すようになりました。入社5年でIさんは正社員に登用され活躍しますが、10年目に結婚を機に退社。家庭との両立が難しいとの理由に、磯村氏は「働きがいについて考えさせられた」と言います。

誠実に向き合う

新卒のOさんとは、地元行政主催の合同企業説明会で出会いました。選考会で発達障害と申告されますが、最終選考まで本人の「働きたい」と自社の「働いてほしい」という思いは変わらず、内定に至ります。その時に出した条件は1つ、企業側へ助言をもらうためOさんの主治医と連携することでした。

Oさんは働いた経験が全くなかったため、半年間のアルバイト期間を設けました。検査業務に配属した際に寝てしまうことがわかり、製造現場への配置は危険と判断しました。半年後、主治医も交えて相談し、8時間勤務が可能とのことで、正社員として雇用しました。

一度、社長から説教される出来事がありましたが、それ以降失敗はありません。Oさんは「働く場があることが嬉しい」と言います。就職活動で内定がもらえず自信を喪失していた分、とても学んでいると磯村氏は感じています。

障害者だから雇わない、障害者だから雇う、そのどちらでもない――「雇用をしたら、どの社員にも誠実に向き合っていきたい」と報告を締めくくりました。