職場のハラスメントについての定量調査(2022年)①

3割超が被害経験あり
職場のハラスメントの動向について、パーソル総合研究所がまとめた調査がありますのでご紹介します。
同調査は2022年8月に全国の就業者に対して行ったものです。レポートは「ハラスメントはなぜ発生し、どんな影響があるのか」「ハラスメントはなぜ暗数化=潜在化するのか」「ハラスメントの潜在化はいかに防げるか」「ハラスメントと上司マネジメント」という観点から考察されています。
まず、ハラスメントを直接受けた経験では、34.6%が「ある」と答えています。内容については、「全体的嫌がらせ(17.3%)」「プライベート介入(19.5%)」「業務上の低評価(23.7%)」「ネチネチ叱責(19.8%)」「仲間外し(19.7%)」の5類型に本統計では分けており、実態での回答は次のようになっています。
「自分の仕事について批判されたり、言葉で攻撃される」が1位で、以降、「乱暴な言葉遣いで命令・叱責される」など、精神的な攻撃や過大な要求、仲間外しに分類される項目が続きます。(図)
会社に伝えず離職も
ハラスメント被害の結果、「主観的生産性(業務遂行能力や生産性)」「幸福度」「継続就業意向」のいずれもが低下することや、ストレス増加をもたらすことも調査から読み取れます。最悪、離職ということになりますが、ハラスメントを理由とした2021年の離職者数は86.5万人となっています。同年の年間総離職者数が717.3万人ですので、その数の大きさが実感できます。特に20代以下で37.5万人と多くなっています。
また、ハラスメントによる離職者のうち、離職の際に退職理由を会社に伝えたのは35.0%で、6割強が会社には伝えずに退職しています。会社に伝えない割合は年齢が高くなるにつれてやや増加する傾向があります。
そして、業種別に「ハラスメントを理由とする離職の割合」と「求人意欲」との関係をみると、求人意欲の高い人手不足の業種ほど、ハラスメントを理由とする離職の比率が高い傾向がみられます。
詳細をお知りになりたい方は以下をご覧ください。(パーソル総合研究所のWEBサイト)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/harassment.html
社会保険労務士法人びいずろうむ 佐藤 文子
(次月以降へ続きます)