活動報告

協働共生委員会(1月15日)

誰もが幸せになれる“ユニバーサル”な働き方の探求

五十畑 浩平氏  名城大学経営学部教授

「正規・非正規」と「フルタイム・パートタイム」
「正規=フルタイム」のみの日本と、「正規」で労働時間を選択できるオランダ

男女とも生きづらい日本の現状

1月の協働共生委員会では、助言者としてご協力いただいている名城大学教授の五十畑浩平氏より、「ユニバーサル」な働き方と題して講演いただきました。

まず五十畑氏は、世界における日本の現状として、2023年版ジェンダーギャップ指数が146カ国中125位と調査公表以来最低であることをあげ、男女格差が埋まっていないと話します。特に政治・経済面での差が著しく、日本での女性の生きづらさが示されました。

それを踏まえ、「男性が稼ぎ女性は家庭」という男性稼ぎ主モデルにおける「一般男性」についても考察し、実は一部の強者・権力者が、誰しもそれぞれに抱えているはずの事情や弱みを無視して「一般男性」像を大多数の男性に押し付けたモデルではないかと指摘。日本では男女とも生きづらい、働きづらいのが現状で、個別の事情や弱みを互いに認め合う「弱者の理論」への発想転換が必要ではないかと提起しました。

「正規」で多様な働き方を

次に五十畑氏は、誰もが活躍できる「ユニバーサルな働き方」の視点として、一部の強者(男性)がたくさん働く「分業型社会」から、さまざまな事情を抱えた「老若男女」が少しずつ柔軟に働く「参加型社会」への転換を提言しました。

そのカギとなるのが、「正規=フルタイム」、「非正規=パートタイム」と固定化されている日本の雇用形態の現状を見直すことだと指摘。例としてオランダでは正規雇用の中で「フルタイム・パートタイム」の選択が可能なことを紹介し、「正規」の働き方を柔軟化することによってこれまで働けなかった人たちの参入障壁を下げ、個々の事情やライフイベント、ワークライフバランスに合わせた多様な働き方が可能になっていくと述べました。

最後に五十畑氏は、今までの「一般」という一括りから「個別・具体」で1人1人を捉えていくよう転換し、互いに認め合い補い合える「参加型社会」の形成を呼びかけ、まとめました。