活動報告

障害者自立応援委員会(4月9日)

ここから物語が始まる
~初めての障害者雇用から半年

山下 明宏氏  すまいるサポート豊田

山下 明宏氏

思いを共有できる会社

報告者の山下明宏氏は、12年続けたフランチャイズを脱退し、2013年にすまいるサポート豊田を開業しました。ハウスクリーニング、一般及び産業廃棄物の収集・運搬、遺品整理、古物商を営み、開業以来順調に売り上げを伸ばしています。

山下氏は、2009年に同友会に入会し経営理念を作成しましたが、社員の反応がいまひとつだったため、その後は机の中にしまっていました。2013年に開業した際、再び指針講座に挑戦し、経営指針のブラッシュアップを図ります。理念採用をしたいと学び続ける中、「経営理念に惹かれた」と入社してくれた社員がいました。この時の山下氏は、思いを共有し働く実感を初めて得たといいます。それ以来、面接では必ず経営理念と仕事の考え方を伝えています。

社員の賛同も後押しに

支部での学習会に参加し、障害者雇用における適材適所の意義や経営者の覚悟を考えさせられたという山下氏。2年前に、就労体験で精神障害のTさんを受け入れました。Tさんは複数の指示の理解が難しく、作業を覚えるのに時間を要しますが、素直で前向き、あいさつや礼儀が身についた好青年でした。

社員の協力で、4日間の就労体験は順調に終了。その後採用の打診があり、展開の早さに正直、戸惑いました。しかし、就労体験を担当した社員が「彼ならぜひ採用したい」と賛成してくれ、山下氏自身も障害者雇用の良さを知っていたので、思い切って採用を決めました。

Tさんの志望動機には「仕事をやさしく教えてくれる働きやすい会社」とあり、山下氏は社員のおかげと嬉しく感じたそうです。現場でめきめきと成長するTさんは、皆からあてにされる存在になっています。採用当初、山下氏の脳裏をかすめた待遇や効率等の不安は、Tさんの仕事への前向きな姿勢と、社員たちの理解と協力によって解消されていきました。

山下氏は「障害者雇用の学びの本質はこれから」と言い、互いに助け合う風土をつくり、人を生かす経営を豊かなものにしていきたいと報告を締めくくりました。