継続的な採用と共育で人が育つ企業づくり
丹羽 昭夫氏 (株)宝製作所
第24期社員と学ぶ共育講座・第3講座で行われた丹羽昭夫氏の報告概要を紹介します。
指針の実践で新卒採用に取り組む
弊社は金属部品加工を事業にしています。創業者の父が体調を崩し、私が34歳の時に代表交代をしました。当時の私は、経営者の仕事は売り上げを確保し、利益を出して社員に還元することだと考えていました。この時社員の平均年齢は50歳、退職が相次ぎ、穴埋めの採用活動をしていたため、人間関係が築きにくい状況でした。
同友会に入会し、経営について勉強し始めますが、数年後に売り上げの半分を占める客先が倒産しました。そうしたなか、何のために経営するのかを問い直し、経営指針書を作成、共育委員会にも参加しました。経営指針を実践していくなかで、社員の世代交代と、会社を立て直すため、リーマンショックの最中に新卒採用を始めます。
経営理念を共有し意見を尊重する
新卒採用を始める前年度から経営指針書の発表を行い、社内で委員会活動を開始しました。当初は社員の発言も少なく、「会社の将来と言われても困る」という社員が多くいました。それは、残業が多くミスも多発、先が見えない状況をつくってきてしまった私の責任です。
それでも、新卒採用を始めると、新入社員が増えていくなかで、教え・教えられる「共に育つ」風土が社内に醸成され、助け合いの風土ができ始めました。また委員会活動においても、社員の発言から仕事などの見える化が進み、以前のようなミスや残業が削減されてきました。
1人1人が「自分で考える」ことを尊重し、人間らしい生活を追求する、仕事を通して社会に役立っていると感じてもらうことを重要視して、共育に長い時間をかけて取り組んできました。しかしながら昨年、社員が数名退職することになり、まだまだ自分勝手な考えで驕りがあったのだと反省しています。
現在、若手社員をリーダーに抜擢し、共にビジョンの作成を行っています。さまざまな経験をしてもらい、自主性や主体性を尊重し、次代に会社を任せていきたいと考えています。