活動報告

障害者自立応援委員会「人間性を語る夕べ」(16)(3月14日)

人間らしく生きる

出原 直朗氏  日研工業(株)

出原 直朗氏

会員の人生観から学び合う「人間性を語る夕べ」。経営における「科学性、社会性、人間性」の「人間性」が最も集約され、話題となり、自らの課題に気づく場として開催しています。

主役たれ!いつ、いかなる時も

報告者の出原直朗氏は、30歳で創業者の父から会社を引き継ぎました。名古屋市北区で当時は2カ所だった工場は現在5カ所となり、他に飲食店、保育所、訪問介護も展開し、今に至っています。

その大きな契機となったのは、同友会に入会した1999年当時、名古屋第2青年同友会の会長であった山田健雄氏((株)名栄社)の掲げたスローガン「主役たれ! いつ、いかなる時も」でした。この出合いが出原氏の志を決定づけます。その後、「自分が主役となり、周りを巻き込もう。雇用を通して地域に貢献しよう」と一貫して取り組んできました。

主軸だった白物家電の生産拠点が海外に移転しジリ貧となる中、どうしたら自社の存在が世の中で必要とされるのか、中小企業が主役になれるのかを、中小企業憲章の基本理念から見出してきたといいます。

どう生き、どう死ぬのか

出原氏が中学まで続けた野球部は非常に指導が厳しく、出原氏は人間不信に陥る寸前でした。逃れるように高校ではスキー部へ入部しますが、部員の素行が悪く、自身も補導、停学を繰り返したといいます。停学中は、切り抜いた新聞記事の背景を読み解き、レポートを書き、社会でやってはならないことを徹底的に教わったそうです。

出原氏に残る強烈なインパクトは、高校時代の友人の死でした。友人は生徒間の校内暴力の中で亡くなり、被害者と加害者の家族たちが苦しむ姿を目の当たりにした出原氏は、「どう生まれ、どう生き、どう死ぬのか」という死生観に強く引っぱられるようになります。

会社に当てはめれば、法人の「死」は倒産です。倒産すれば地域での雇用は守れません。その重圧をはねのけるべく、信条の「信頼、誠実、改革、熱意、感謝」にこだわり続け、感謝される経営を目指しています。

出原氏が考える「人間らしさ」とは、仕事以外でも、人と人がつながり、協力して新たな何かを生み出し、皆でハードルを越え成長することです。それが、自分自身、社員、企業の価値を高めると信じ、環境をつくり続けていきたいと報告を締めくくりました。