就活新時代、見えてきた課題と成果
~3月合同企業説明会、5月「カフェで就活」を終えて

就職活動を急かされる学生
(株)キャリタスの調査によると、2026年3月卒業予定の大学・大学院生の5月1日時点の内定率は76.2%で、前年同期実績と同水準とのことです。半数近くがすでに就職活動を終了したという結果も出されています。
学生を取り巻く環境としては、依然として採用直結型インターン・早期選考・通年採用など、選考プロセスの早期化や複雑化が進んでいます。また、就職活動の波に乗り遅れると「出遅れた」と周りから急かされる傾向にあり、学生は3年生に入るとすぐに就職活動を始めざるを得ない状況です。
インターネットで調べていると、学生には多くの選択肢があり、情報が溢れている状態だということが分かります。その中で、ミスマッチを防ぐために性格や価値観を分析して適職、もしくは適さない職業を効率的に特定してくれるような「適職診断」というツールもありました。
ただ、学生がイメージできる仕事内容は限られています。今まで生きてきた20年の人生では、パティシエになりたい学生はいても、プラスチック加工の職人になりたい学生はほとんどいません。また一方で、学生時代にアルバイトなどでサービス業に携わる学生は多い反面、こちらも就職先としては選ばれにくい傾向にあります。
何をもって適職か
このように、学生時代に触れる機会のある職業は少ないにもかかわらず、イメージが先行し、学生が職業を選びづらくなっている中で、適職診断で「適さない」と判定される仕事は何をもって適さないのか、疑問が残ります。
自分の向き不向きを知るための場所であるはずのインターンシップ(採用直結型)がその役割を果たせていないのであれば、就業観を養うための本当の意味でのインターンシップが今こそ求められているように感じます。

親しみやすい場を目指して
今回、3月は大学4年生を中心に、5月は気軽に参加してもらうために大学2、3年生を中心に「カフェで就活」というコンセプトで、合同企業説明会を開催しました。また4つの大学に授業の一環として協力いただけたことで、延べ220名の学生と出会うことができました。
学生の感想では、「授業の一環で来たけれども楽しかったので、2回目も来ました」というリピーターもいたことや「就職活動はまだまだ先のことと思っていたけれど、社会に出ることを楽しみにしたい。大手か中小企業かに関係なく、自分に合った企業を探すことが大切であると感じた」というような声も聞かれました。

心の片隅にいかに残るアプローチができるか
課題としては、出会った学生といかに接点を持って印象を残し、中小企業に興味を持ってもらえるかです。好事例として、昨年3年生の段階で学内合同企業説明会で出会った学生が、4年生になり、自ら企業を調べて内定につながった例があります。企業はまだまだ先のことだと思っていても、学生にとってはその時点から就職活動は始まっています。どんな場面でも、心の片隅にいかに残る話ができるか、「もう一度話が聞きたい」と向こうから選んでもらえるかがポイントだと思います。
そのためには、対象学年でない学生に対しても企業側がどのような対応をするか、が問われます。無理に距離を縮めようとすれば逆効果となり、学生にとって適切なタイミングで、適切な声がけをしていく必要があります。

有機的に結びつく採用活動を
今回、学内合同企業説明会、各学校での講義、「カフェで就活」、そしてインターンシップが有機的に結びつくことで、1つの成果が見えてきました。
どの場面でも同じように、いつか社会に出る学生に向けて、さまざまなアプローチをしています。それらが一貫性を持つことで学生の心に残り、就職先を選ぶときの選択肢の1つとなります。多くの学生に選ばれるためにも、地元で頑張っている企業だということを知ってもらう必要があります。そのために、学校へ足を運び、情報収集をし、心に残る取り組みをしています。