映画「学校Ⅱ」から人間尊重を深める

7月1日の障害者自立応援委員会では、山田洋次監督の映画「学校Ⅱ」を通し、故・大田堯東京大学名誉教授の提起「違いを超え、それぞれの人格の独立した成長を尊重し、かかわりながら生きる」ために、人として、経営者として何が大切なのかを語り合い、人間尊重を深める学習会を開催しました。その概要を紹介します。
「対等」について映画を通して問い直す
開会にあたり、浅井順一障害者自立応援委員長が『労使見解』に見られる「対等」に触れ、「社員に優劣をつけていませんか。今日はそれを問い直そう」とあいさつ。その後、参加者全員で映画「学校Ⅱ」を鑑賞し、グループ討論を行いました。
「学校Ⅱ」では、養護学校(現・特別支援学校)を舞台に、教師、生徒、保護者たちが、ぶつかり、育ち合う姿が丁寧に描かれています。
〈学校Ⅱ 概要〉
軽度知的障害のたかしは、いじめを受け心を閉ざし養護学校にやってくる。そこで障害の重い同級生ゆうやに兄のように慕われ、次第に自分を取り戻していく。
周りに世話を掛けるばかりのゆうやを「この子には人を変える力がある」とほめるベテラン教師に、涙ぐむゆうやの母。「生徒に何も与えられない」と苦悩する新人教師に、「我々の役割は、生徒に寄り添い、生徒から学んだことを返すこと。与えるのではない」と諭すベテラン教師。
たかしは就職のための実習先で、誰にも理解されない孤独と挫折を味わう。「自分はバカだと分かるからつらい。重い障害のゆうやがうらやましい」と泣きながら訴えるたかしに、ベテラン教師は「ゆうやの目の奥にも悲しみがある。みんな同じだ」と説く。
生徒たちは、生きる手ごたえを求め、かけがえのない日々を過ごしていく。そんな生徒たちと関わる中で、ベテラン教師に変化が生まれ、娘の進路に自分の期待を押し付けず、本人の気持ちに寄り添おうと決心するのだった。
グループ討論では、たかしの実習を断った経営者に対し、「会社側の受入態勢が不十分だった」「職場に合わない人を情けで雇うのは対等か」などの意見が交わされた後、養護学校から社会に出る生徒たちの気持ちや背景を知ることの大切さが確認されました。
また、「教師の役割は、生徒からの学びを返すこと」の意味について、「ベテラン教師が娘の気持ちに寄り添おうと決めたシーンで理解ができた。障害者との関わりから幸せや教育の意味を問い直す姿に共鳴した」との感想も出されました。