活動報告

障害者自立応援委員会「人間性を語る夕べ」(16)(5月9日)

関わる全ての人を幸せに

山口 弘修氏  (株)中部シイアイシイ研究所

山口 弘修氏
山口 弘修氏

会員の人生観から学び合う「人間性を語る夕べ」。経営における「科学性、社会性、人間性」の「人間性」が最も集約され、話題となり、自らの課題に気づく場として開催しています。

私の信条と生きる目的

報告者の山口弘修氏の信条は「誠実、謙虚、コツコツと努力、決めたらやり切る、為せば成る」、生きる目的は「この世に生を受けた以上、自分を活かし、世の中に貢献し続けること」です。この成り立ちのきっかけは、山口氏が3歳の時に遡ります。会社の廃業で職を失った父親がおむつの洗浄レンタル業を始め、きつい仕事でもいつも家族に仕事のすばらしさを語る思い出から始まりました。

小学生時代は、今も尾を引く悔やまれる体験で弱い自分に気づき、中学生時代は、コツコツと努力をすれば勉強も運動も上達し、やればできると自信をつけました。大学卒業後は大手企業で3年間勤めますが、当時父が経営していた中部シイアイシイ研究所の事業に未来の可能性を感じ、継ぐことを決めます。

しかし入社をすると、旧態依然とした現実に、労働基準法を守れる会社にしなければと意を決したそうです。

苦難に磨かれて

山口氏は当時、「自分が外部環境の変化に手を打ち、仕事を取り、従業員は指示通りに動けばよい」と考えていました。2000年代は仕事が増え、売り上げを上回る投資で新工場を建設しますが、その1年後に仕事は全て海外に移転。30歳の山口氏は右往左往し、リストラを決行しますが、その対象に同級生の母親がおり、深い自責の念にかられた思いを吐露しました。

ようやく危機を脱した頃、幹部から「会社をどうしたいのか」と詰め寄られ、経営には哲学や思想が必要だと気づき、同友会に入会。「会社はみんなの幸せのために存在する」と理念を作成しました。

V字回復を遂げた同社でしたが、次にはリーマンショックと、その影響による債務超過が襲ってきました。山口氏は、必ず理念を形にするという信念で進む中、自分の意思が磨かれていくのを実感したそうです。

債務超過で回収までの8年間は、「社員の支えがあってこそ」と振り返り、今は「変革と挑戦、人間尊重の精神」を理念に掲げ、「関わる全ての人々の幸せを実現すべく、自身の命を使っていきたい」と締めくくりました。