活動報告

障害者問題全国交流会 in 青森(10月9日)

人を思う心が強い会社をつくる

小島 正寛氏  (株)中央技研

小島 正寛氏
小島 正寛氏

強い組織力が育つには

第23回障害者問題全国交流会が青森県で開催され、第2分科会で中央技研の小島正寛氏が報告しました。

小島氏は、少年時代に救われた「他者を思いやる人になる」という教えが、同友会で学んだ「人を生かす経営」の価値観に合致したといいます。そして「人を生かす経営」とは、社員の人生に責任を持つ経営者の覚悟であり、人を思う心で安心感のある企業風土をつくれば、生きがいや幸福感が膨らみ、強い組織力が育つと確信しました。

経営理念に立ち返る

理解しがたい行動が目立ったO君の退職を機に、経営理念を見直し、「かけがえのないあなたと私の幸せのために、思いやり、感謝、礼儀、信頼を大切にする」ことを掲げ、ビジョンに「安心して働ける会社」を設定しました。

次に発達障害のA君を雇用します。表現が苦手なA君とのトラブル時には、社長が丁寧に噛み砕いて説明する対応を社員に示し、「不得意を責めるか、得意を認め活躍させるか」と問いかけました。不満を持つ先輩も、経営理念に立ち返りA君の作業を見守るようになり、社内に成長を支え合う雰囲気が醸成されたといいます。

見えない生産性を高めた実践事例を紹介
見えない生産性を高めた実践事例を紹介

見えない生産性を高める

この「人を思う心」から生まれた助け合いと自主性は、独自の工程や検査基準を生み出し、「仕事の誇り、精神的な安心感、信頼関係」といった「見えない生産性」を高めました。その結果、品質向上、クレーム減少、コストダウンにつながる「見える生産性」が向上し、財務体質も強化されています。

小島氏は、障害者雇用を行う経営者は、奉仕や慈善ではなく、本気で教え、育て、成長を見守る覚悟が必要だと訴えます。雇用が難しい場合でも、「障害者と関わること」は始められるとして、愛知同友会のスローガン「一社一人関わる」を推進しています。「障害者と関わることは、経営者自身の成長を深め、会社を強くし、人に優しい社会実現への扉となる」と締めくくりました。