活動報告

障害者自立応援委員会(2月17日)

挑戦する機会を奪うことは人生のチャンスを奪うこと

~実習受入で「知らない」を「わかる」へ

神谷 真吾氏
愛知県教育委員会
県立特別支援学校・就労アドバイザー
田中 誠氏
(有)進工舎・代表取締役

左から報告者の神谷真吾氏、田中誠氏、司会の江尻春樹氏

同友会では障害者との関わりの1つとして、実習受入企業を拡大しています。今回は、学校と企業の体験報告と質疑応答で実習への理解を深めました。

〈学校から〉

愛知県では、報告者の神谷真吾氏を含め5名の就労アドバイザーが各地域に配置され、県内すべての特別支援学校と連携し、生徒たちの雇用を推進するため活動しています。県内には、盲、聾、肢体不自由、知的、病弱の特別支援学校があり、生徒たちは障害の特性に適した支援を受け、学んでいます。生徒数は全体で約7900名で、令和6(2024)年度の進路は卒業生約1100名のうち、3割強が一般企業、6割強が福祉施設、3%が進学とのことでした。

神谷氏は、障害者雇用について「知らないから不安になる」とし、雇用企業の体験談や障害のある社員の話を聞くことで「知らない」を「わかる」に近づけてほしいと話しました。また、実習は、その人の実力や障害特性への理解が深まり、自社の職場環境の見直しや暗黙知を形式知にできる機会でもあり、受け入れを会社の力にしてほしいと結びました。

〈企業から〉

進工舎は金属精密加工の会社で、現在は従業員10名のうち3名が障害のある方です。

田中誠氏は、1997年から障害者雇用に関わり始め、翌年、統合失調症のMさんの就労体験を受け入れました。当時は精神障害への偏見も強く、支援機関に配慮事項を聞きながら、「会社に来て、仕事をして、帰る」を目標にスタート。その後、Mさんからの希望を受け、採用に至りました。

これまで10数名のさまざまな特性のある社員と働く中で、多くの試行錯誤を体験しました。順調に働いていた自閉症のK君は、社員からの期待が負担になり人間関係が悪化、田中氏の尽力も空しく退職となってしまった体験は、痛恨の極みだったそうです。意思表示が苦手なT君が癇癪を起こし、「社長なんて嫌いだ」と捨て台詞で帰った時には、社員の協力を得て1日5分の面談で安心できる環境を整えました。こうした経験から、障害特性に縛られずその人自身を見ることが大切だと強調されました。

田中氏は、障害がある人はアルバイトの経験も少なく、雇用を前提としない「働いてみる」実習は貴重な機会と実感しています。「挑戦する機会を奪うことは人生のチャンスを奪うこと。働きたいという意欲を応援し、活躍できる場を増やしていこう」と呼びかけました。