活動報告

農業部会(10月30日)

6次産業化に挑む

小笠原 正秀氏  (有)小笠原牧場
北村 克己氏  北村牧場

立ち上げた飲食店について話す北村氏

立ち上げた飲食店について話す北村氏

愛知の酪農家が半減

10月の農業部会は、「価値・感動・感謝の3Kへ」とのテーマで、酪農を事業とする小笠原牧場の小笠原正秀氏と北村牧場の北村克己氏から、酪農の現状と課題を報告いただきました。

「醍醐味」との言葉に表れるように、飛鳥時代より乳製品は製造及び評価されてきました。また、現在市場に流れている牛乳は全て国産品であり、一部海外から輸入されている米や卵以上の高い自給率を誇り、日本の食生活を支えているのです。

しかし、乳牛は出産しないと乳が出ないという性質上、他の畜産より管理が難しく、大手企業もなかなか参入できていません。労働時間は年3000を大きく超える重労働であり、新規に酪農を志す人は皆無といえます。そのため、愛知県内では10年前の約半数にまで酪農家が減少。その結果、バター不足等がメディアで取り上げられるように、生乳生産量が半減して国民生活に影響が出始めています。

酪農の価値を高める

これらの課題に対し、小笠原氏と北村氏は合同会社を立ち上げ、6次産業化に挑んでいます。現行の販売方法では、商品の売り先が決まっており、生産者に価格決定権はありませんでした。しかし、新鮮さと地場ブランドを求める声が上がり、このたび飲食会社と提携して、自社の乳製品を活用した飲食店を名古屋の中心部に開業しました。

6次産業化に伴う2足のわらじ、とりわけ第3次産業への戸惑いや仕事量の増大で、何度も心が折れそうになったと両氏は話します。しかし、同友会での学びの後押しによりここまで実現できたこと。飲食業を始めとした他業種から多種多様な要望が出るが、「社会における酪農の価値を向上させること」だけは見失わないようにしたい、との言葉で報告を締め括りました。

その後、乳製品についての質疑応答を行い、実店舗を見学して閉会となりました。