活動報告

経営指針推進本部、経営環境改善部門共催 情勢学習会(7月25日)

未来を切り拓く企業づくり
~情勢・時代認識と中小企業の展望

吉田 敬一氏  駒澤大学経済学部教授

時代認識は経営指針づくりに不可欠~112名が参加

時代認識は経営指針づくりに不可欠~112名が参加

アベノミクスは蜃気楼

駒澤大学の吉田敬一教授を迎え、「情勢・時代認識と中小企業の展望」と題して情勢学習会を開催しました。

企業内国際分業体制を確立した大手自動車メーカーは、現地生産を推し進め、メイド・イン・ジャパンからメイド・バイ・ジャパンへと経済構造が変化していると吉田氏は指摘します。そのため、アベノミクスにより円安となっても自動車の国内生産と輸出は伸びず、大手自動車メーカーは円安による為替差益で黒字を出している状況といいます。「トリクルダウンは生まれない構造」であることが強調されました。

トヨタ自動車が国内生産台数300万台を死守する理由は、国内企業を守るためではないといいます。それは第1に、外国で生産能力を超える生産台数が発生した場合のグローバル需給調整機能を維持するための輸出力の確保。第2は国内の需要へ対応するため。第3には、新しいモデルの企画・開発から量産化に至るプロセスの問題点を解消していく、母工場としての機能を前提にしていると解説しました。

“まさか”に備えた企業づくりを

異次元金融緩和の実態

日銀の異次元の金融緩和は、国内の実態経済がデフレ脱却以前であるため設備投資に向かわないこと。貸出先がないため供給された資金は行き場を失い、日銀に還流している実態を紹介しました。マネタリーベース(日銀が供給する通貨)は増えても、マネーサプライ(通貨供給量)は伸びず、今年2月に導入されたマイナス金利でも、当座預金が増え続けるだけで、景気は楽観視できないと説明しました。

2019年の消費税増税、異次元の金融緩和政策の出口戦略問題、東京五輪特需の終焉、超高齢社会と福祉、財務問題等、2020年の東京オリンピック開催以降は何が起こるかわからないといいます。

今、何が起きているのかを鳥の目で見渡し、トレンドを掴み、それに対応する戦略を持つこと。さらに、自社の経営理念に沿って21世紀型企業へと転換していくことが求められると示唆しました。