活動報告

第1回 理事会学習会(7月17日)

新産業構造ビジョンを学ぶ

田村 豊氏  愛知東邦大学経営学部教授

「小さな一歩でも着実な一歩を、それが変化への対応」と田村氏

構造変化への対応

第1回理事会学習会を開催し、「自動車関連産業を取り巻く情勢と、今後の愛知の産業構造の変化と中小企業の課題」をテーマに愛知東邦大学教授の田村豊氏に報告いただきました。

まず田村氏は、愛知県の産業労働ビジョンを踏まえ、昨今の「働き方改革」で注目される生産性の向上やIT化などの動きを踏まえつつ、愛知の自動車産業の動きを紹介。とりわけ、CASE(Connected、Autonomous、Shared&Services、Electric)のように自動車産業そのものに大転換を迫る変化のなかで、経済環境を俯瞰し、将来を見通した対応が一層求められると指摘します。

特に生産年齢人口の若年層と壮年層の割合の低下が、将来推計人口から確実視されるなかで、求人氷河期の到来は不可避だと強調。その上で、今後の経済成長を実現するための生産性向上策として「働き方改革」を位置付けていること、高度プロフェッショナル制度により労働時間の規制緩和を図り、同一労働同一賃金の導入で、成長産業・企業への労働移動を促進することにより企業活力の向上を目指す政府の視点を説明しました。

第4次産業革命技術の社会実装を推進

ITによる技術的転換点が到来したなか、国は「新産業構造ビジョン(2017年)」を策定。今後の社会変動を前提にした次期社会への対応ビジョンを提示しています。

田村氏は、今回の同ビジョン策定の背景には、競争力の育成は、もはや地方自治体レベルでは対応できず、国家として取り組まざるを得ない課題となったとの認識があると指摘。第4次産業革命技術(IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット)の社会実装を進め、ソサエティ5・0の実現を目指す同ビジョンに基づく政策展開は、仕事の内容や社会構造を劇的に変化させうると強調しました。

最後に、CASEへの対応、系列再編などに揺れる自動車産業では、新領域への挑戦が求められる点を説明しました。そして、階層横断的なプラットフォームを構築し、多様なニーズに対応することが、第4次産業革命下の経済社会、産業では求められていること、小さな一歩でも着実な一歩を、それが変化への対応だと述べ、報告を締めくくりました。