草案の提起する社会
共生と平和を目指す
中小企業憲章草案(以下、憲章草案)は2002年からの憲章制定運動の中で、全国の同友会会員の試行錯誤と議論の集大成として、2010年の第42回定時総会で採択されました。
憲章草案の前文では「人類と地球の持続可能な未来に貢献し」「歴史と経験をふまえ、世界の中小企業との連携を強める」と地球環境や世界の人々と中小企業の関係が明らかにされています。
また、憲章草案の指針10では「国際交流を深め、固有の文化を尊重しあい、互いの経済の平和で安定的な発展に貢献し、アジアをはじめ世界との共生に努力する」と掲げており、同友会の目指す社会は、自社や自国だけではなく、世界の人々、一人ひとりとの共生と平和を目指しています。
世界的認識の転換
一方、国連は2011年にビジネスと人権に関する指導原則(以下、指導原則)、2016年には持続可能な開発目標(以下、SDGs)を採択しました。これは世界の潮流が経済成長を最優先する社会から、世界中どこの国であれ、一人ひとりの人権を尊重し、平和が永続する社会を目指すことに転換したことを意味します。
また、日本でもこの指導原則を担保するための国別行動計画(NAP ※National Action Planの略)の策定作業が始まり、同友会も人間尊重経営の実践や、現状の日本社会での中小企業者の人権について外務省に意見する機会を得ています。
「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」を世界へ
現在の世界の潮流は、同友会が長年目指し、実践してきた内容に非常に近いものです。地球上で起こる様々なことが国内にも即座に影響する昨今、私たちは世界的視野を持ち、労使見解を学ぶように指導原則やSDGsを学び、自社の経営にその原理原則を入れ込むことが大切です。
これからは「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」が世界中で実現されるよう、憲章草案を右手に、自社の経営指針書を左手に同友会運動を進めていきましょう。
重機商工(株) 城所 真男
※憲章草案の全文は、こちらをご参照ください。(DOYU NETのサイト)
https://www.doyu.jp/kensyou/offered/maind.html