活動報告

名古屋第5支部「地域学習会」(10月24日)

「国民や地域と共に歩む中小企業」とは
~地域に根差し、あてにされ、愛される企業を目指して

荒川 亨氏  (株)石川製作所

目指す企業の姿を同友会理念から学ぶ

やれることをやる

名古屋第5支部では2017年から「地域学習会」を開催しており、今回は32名が参加しました。支部内で地域への関心が高まるなか、国民や地域と共に歩む中小企業の姿を、特殊線ばね製造を行う石川製作所の荒川亨氏の実践報告と、同友会の理念・歴史から学びました。

荒川氏は、地域と関わり始めた時からその意義を感じていたわけではなく、少しずつ実感していったといいます。現在の会社は東郷町にありますが、移転前は名古屋市緑区という町のど真ん中でした。騒音やにおい、煙への苦情、トラックの出入り等できる限りの対応をすることから始めました。その後も、保育園児のフォークリフト乗車体験や小学生の工場見学、高校生の職場体験などに協力し、移転後も東郷町貯水槽指定を受け入れました。また、緑区民祭りや地元の催しへも同友会緑地区として参加し、地域からの依頼すべてに「イエス」で応えてきました。

特に熱く語られたのは、小学生の工場見学後に届いた「移転してしまうのが寂しい」「バネ屋になりたい」という手紙に涙したことや、こどもおしごと体験での「うちの子を雇ってもらえますか」という保護者の言葉が忘れられないこと。そして、地域と関わり、生き生きと自ら動く社員の話です。荒川氏は、社員と共に喜ぶことができた時、胸いっぱいの嬉しさを感じ、地域と関わる意味を改めて確信したといいます。

経済の基盤としての責務と地域への感謝

荒川氏は、地域と関わる理由を同友会理念に照らして報告。特に人間らしく生きること(幸せの追求)、社会的な連帯を重視し、暮らしを守ることを大切にしており、それは自主・民主・連帯の精神が持つ意味を学んだからだといいます。また、日本経済の基盤は中小企業であり、国民生活、地域社会、文化を支える柱としての責務が私たち中小企業家にあると話します。

同友会運動は、人の幸せを大切にする地域社会をつくることでもあります。同友会は設立時から経営環境の改善運動を進めてきましたが、その流れの中で、地域経済の活性化を提言し、行政機関をはじめ様々な機関・団体と連携し、地域おこしを共に進めてきました。そこから、一人ひとりの幸せを大切にする経済社会をつくるという考えが生まれています。荒川氏は、現在各地区で進められている区役所訪問や地域学習会は、その意味を持つ重要な取り組みだと説明しました。

また、地域に根を下ろした時から地域との関わりはあり、感謝が始まるといいます。だからこそ、「三方よし」はとても大切なことだと報告を締めくくりました。