活動報告

愛知同友会景況調査(2020年2月末)

“新型コロナ”が追い打ち
~9年ぶりの「今月の状況DI」マイナスに

業況判断DI(全業種)

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響が、国民生活と企業経営、地域経済へと広がりをみせています。WHOがパンデミック(世界的な大流行)を宣言し世界に警鐘を鳴らしていますが、終息については極めて不透明な状況といえます。

愛知同友会が四半期(3カ月)に一度行っている景況調査では、米中対立・自然災害・消費増税で落ち込んだ景気に新型コロナが追い打ちをかけました。中小企業をめぐる最新の景気動向をお伝えします。

業況判断DI、全指標が水面下

「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「業況判断DI」の「今月の状況」は、前回の15から△2へ17ポイントもの大幅な下落となりました。東日本大震災直後の2011年5月調査以来、およそ9年ぶりのマイナス値です。悪化は5期連続です。

「前年同月比」も前回の△8から△20へ12ポイントの大幅下落となりました。4期連続で「悪化」超過幅を拡大させています。さらに「次期見通し」も前回の12から△5へと大幅な落ち込みを示しました。これも2011年5月調査以来のマイナスです。

業種別に「業況判断DI」の各指標を見ると、すべてのDI値が全業種で大幅な下落となっています。「今月の状況」は建設業36 → 8、製造業△5 → △28、流通業9 → △10、サービス業23 → 17。「前年同月比」は建設業9 → △21、製造業△37 → △46、流通業△16 → △28、サービス業8 → 3。「次期見通し」は建設業28 → 2、製造業△9 → △32、流通業7 → △12、サービス業21 → 15。多くは2桁の大幅下落となりました。

売上高DI(前年同月比・業種別)
製造業はリーマンショック後のレベルに低下

米中対立、消費増税、新型コロナウイルスと景気悪化に拍車

米中対立を発火点とした2018年後半以降の製造業の業況悪化に昨年10月の消費税率の引き上げによる需要減退が加わったことで、景気はじりじりと悪化してきていました。今回の調査結果は、そこに新型コロナウイルスの影響が「追い打ち」したことを示すものです。

文章回答にも「建材が発注ストップになり全く納期が未定」(建設業)、「旅行のキャンセルで2月60%減、3月80%減」(流通業)、「予定されていたイベントが中止。設営費、広告宣伝費など影響が出ている」(サービス業)など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を指摘する声が多く見られました。

現在のところ影響は少なくとも、「雲行きは怪しくなっている」「今後建設投資に調整が入ってくる見通し」など、先行き不安を訴えるものも多数ありました。

実質GDP成長率(前期比)
「コロナ・ショック」の前に景気後退
(出所)内閣府「国民経済計算」より作成

経済活動の冷え込みで消費マインドも低下

調査期間終了後、政府のイベント自粛や小中高校の全国一斉休校要請、感染者数のさらなる増加などから経済的・社会的活動はさらに冷え込んでいます。調査後に寄せられた景況分析委員からのコメントも、「来期の設備投資は激減する予想」(建設業)、「長引けば車両を売却するなど検討しなければならない」(流通業)、「開店休業状態。街全体が死んだよう」(サービス業)など、多くは急速に冷え込む経済状況に戸惑う声でした。「中国向けの輸出は20~50%ダウン」、「医療機器、半導体、ロボット関連、計測機器関連とも激減しそう」、「部品が入らないために製造がストップしている製品もある」など、製造業からはサプライチェーンの乱れによる影響も含め、厳しい状況が伝えられています。

資金繰りを最優先に

景気が下降しつつあるところへの「コロナ・ショック」ですから、当面の景気情勢はより厳しくなると見通すほかはありません。落ち込みの程度は感染拡大の終息がいつになるかによって違ってきますが、当面は資金繰りを最優先にしつつ、政府や自治体の中小企業支援策に関する情報入手も怠らず、万全を期して経営にあたることが求められます。

【調査要項】

調査日 2020年2月17日~2月27日
回答企業 1186社(建設業209社、製造業272社、流通業292社、サービス業413社)
平均従業員 23.5名