活動報告

新型コロナウイルス感染症等緊急アンケート

新常態への人材育成
~ポスト・コロナの飛躍への基盤

愛知県は緊急事態宣言の対象地域から外れましたが、中小企業の経営は危機的状況に陥る可能性が危惧されています。その影響を探るため、中同協が主催する2回目の全国緊急調査と中日新聞社との合同調査を兼ねるアンケートを行いました。

(グラフ1)前年同月比の売上

9割弱にマイナス影響

今回の調査からは、「すでにマイナスの影響が出ている」が57%(前回37%)、「今後マイナスの影響が懸念される」が29%(前回46%)とコロナ・ショックの影響が全体に及んできているのがわかります。具体的な影響は「商談遅延」「予約キャンセルによる売上減や損失」の比率が高く、対応として「運転資金の借り入れ」「新規受注の確保」を実施しています。

(グラフ2)資金繰りの見通し

一方、5月の売上見込み(前年同月比)は、減少する割合が60%に達し、業種別では前回と同様、製造業(68%)で高い数値を示しています(グラフ1参照)。資金繰り見通しは「当面不安がない」が38%(前回43%)と下落し、「手元の自己資金と追加融資で耐えることができる期間」は、1~3カ月が13%、4~6カ月が28%と、耐えられる期間を41%(建設業47%)の企業が「半年以内」と回答しています(グラフ2、3参照)。テレワークは31%が実施、マイナス影響のピークは18%(サービス業23%)が「現在」、26%(製造業37%)が「1~3カ月先」と回答しています(グラフ4参照)。

(グラフ3)耐えることができる期間

これまで米中対立を発火点とした製造業の業況悪化に、消費税率の引き上げによる需要減退も加わり、新型コロナウイルス感染拡大が景気の悪化に追い打ちをかけました。これを引き金とした雇用や設備投資の意欲の低化により、長期的な経済の成長力が押し下げられ、日本経済はコロナ禍以前に大幅な下方屈折に向かっていたと考えられます。

(グラフ4)マイナス影響が大きくなる時期

真価が問われる経営者の姿勢

危機は社会の矛盾や本質的な課題を顕在化させます。所得や待遇の格差、公正な取引条件、正確な情報開示、都市の人口集中、情報インフラの整備などです。現在、渦中にある危機的な状況下で如実に現れているのは、平時にこそ何をしていたかです。たとえば資金手当ての問題は、平時から複数の銀行と積極的にコミュニケーションを図り、信頼関係を構築していれば、危機下での混乱や苦しみも相当軽減されることになります。

また、日頃から自社の社会的使命を明確にし、経営理念と方針(戦略)、経営計画とを一気通貫した経営指針を確立していれば、危機的状況下でも修正を図り、企業の存続とその先の発展に向けた舵取りを早期に図ることができます。その意味で、経営者としての姿勢が今回のコロナ・ショックで試されているとも捉えられます。

大きく変化する価値観

ポスト・コロナの社会は、人々のライフスタイルや価値観、ニーズは大きく変化すると予測されます。たとえば、3密を避けることにより、店舗は今よりも広い面積がなければ、同じ客数を入れることができません。また、航空機や電車、バスなどの乗り物も同様です。その結果、さまざまな所で価格は上昇し、そのためにも社員の賃金を引き上げなければなりません。

これに対応するためには、これまで以上に人間らしい力を発揮し、生産性を高めていくことが避けられません。その意味で、この危機をバネに人材育成と市場創造に徹底して取り組むことが、ポスト・コロナの社会で飛躍する基盤となるといえます。

[調査要項]

調査日 2020年5月18~27日
回答企業 1111社(建設195社、製造252社、流通・商業269社、サービス395社)
平均従業員 22.8名