活動報告

新型コロナウイルス感染症等緊急アンケート(第4回)

新たな経済社会を模索 ~本質的な価値の発信

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化する懸念もあるなか、経営への影響や企業対応などの実態を把握するため、全国の同友会で第4回緊急アンケートを実施し、愛知集計のデータを分析しました。

(グラフ1)マイナスの影響の有無

製造業への影響拡大

今回の調査では、前回(7月)と比較すると、製造業で「マイナスの影響が出ている」割合が76.1%→80.3%と8割を超過。逆に建設業は、「マイナスの影響はない」割合が3.9%→10.2%と増加しました。(グラフ1参照)

前年同月比の売上が減った企業は、製造業で最多の72.4%を占めました。前回調査と比べると、売上が減少した企業の割合は建設業で53.5%→50.9%と緩和した一方で、流通・商業では59.1%→65.5%と拡大しており、相反する動きが見られます。

マイナスの影響が最も大きくなる時期は、「見通せない」(27.1%)が最多で先行きが不透明な状態が見て取れます。

手元資金と追加融資で耐えられる期間は、サービス業、流通・商業で「2年以上」が最多を占めました。製造業と建設業は、「1年~1年6カ月未満」の回答が多くありました。(グラフ2参照)

(グラフ2)手元資金と追加融資で耐えられる期間

デジタル化・IT化の展望

デジタル化・IT化の取り組みや強化として、「オンライン会議の導入」「PC、モバイルデバイスの追加購入・支給」「リモートアクセス環境の新規・追加導入」を多くの企業が実施。業種別では、流通・商業で積極的に取り組まれ、反面、建設業では「特になし」が多く、業種間で開きがありました。また課題は、「費用対効果」「投資費用」に加え、「社内の体制や仕組みづくり」が上位を占めました。「社内の体制や仕組みづくり」では、製造業で高い数値が示されたのが特徴的です。

記述回答の「企業の存続のための取り組み」では、「ホームページのSSL対応、スマホに対応するページの構築(製造業)」、「営業部門のweb化、間接部門のIT技術の活用、EC部門の販売物量増加(流通・商業)」、「異業種や知り合いと連携(サービス業)」など様々な取り組み事例が寄せられました。特にこの状況をチャンスと捉えた新規採用の実施や、社員の能力を向上させる人材育成の動きが散見されました。

人間らしく生きる権利の回復

ポストコロナでは、新たな経済社会の模索と、人間らしく生きる権利の回復を目指す潮流の加速が予測されます。具体的には、無秩序な企業活動の抑制、廃棄物を出さず資源を循環させる循環型経済への転換、持続可能な社会を目指すSDGsの推進です。これは数量経済から付加価値経済への移行であり、「安く売る」ことから「高く売る努力」が必要となります。

中小企業は、事業を通じて本質的な価値の発信が必要で、自社の社会性を改めて明確にすることが求められます。経済環境の変化で経営指針の再構築が多くの企業で喫緊の課題となり、その際が自社の存在意義を検証する機会といえます。

【調査項目】
(1)調査日 9月15日~27日
(2)回答企業 782社
(3)平均従業員 32.3名