企業・学生・大学で作り上げるインターンシップ
~2年ぶりの開催へ向けて
インターンの意義を確認
愛知同友会は、1998年より大学生向けのインターンシップ研修(以下、インターン)に取り組んでおり、学生に働くことの意義や楽しさ、中小企業の魅力を就業体験の中で伝えています。採用の手段にせず、企業と学生が対等な立場で学びあうことにこだわり、企業(経営者・社員)にとっても学びの機会となっています。
新型コロナウイルスの影響で昨年は中止にせざるを得なかったインターンですが、今年度は8月23日からの2週間、各社で感染対策をとりながらの開催に向けて準備を進めています。企業と大学でインターンシップの意義を確認する事前準備会議には、大学関係者18名、受入企業43名、学生実行委員5名と事務局が参加しました。
自社・自分を知ること
企業・学生・学校の3者で作り上げるという同友会インターンの主旨に沿って、まずは3者それぞれの視点から報告いただきました。
椿園・代表取締役の佐藤幹大氏は、将来の組織的経営を見据え、自社を客観的に知ることや、社員に後輩ができた時の準備をするという目的を持ってインターンに参加しました。学生に毎日1つ自社の改善点を出してもらい、どんな小さなことでも会社全体の問題としてとらえて改善したり、社員が仕事の伝え方を工夫したりと、インターンは短期間で学びを得られ、会社を成長させるヒントにもなる機会であると語りました。
愛知みずほ大学・4年の近藤里奈氏は、昨年、5日間のインターンに参加。その後、より会社の全体像が見たいと別のインターンにエントリーするも、コロナ禍で中止に。オンライン授業によって家で過ごす時間が多い中、自身の将来の働く姿を考え、現在、悩みながらも人と関わる仕事を目指して就職活動をしていると語りました。
企業と学生が対等に学びあう機会に
名古屋産業大学・准教授の今永典秀氏は、インターンにおける事前の目標設定が重要であるとした上で、企業にとっては、学生から見た「魅力ある企業」など生の声を知ることができ、企業変革に活かすことができると強調しました。より良いインターンにするためには、個々の学生へのフィードバックや、仕事の断片だけでなくそこで働く経営者や社員の生の姿を見せることなどが有効であると話し、企業と学生が対等に学び、成長しあう同友会インターンへの期待が語られました。
その後、グループに分かれてインターンの意義を討論し、2週間の研修にどう盛り込むかを各社の受入企業要項を見ながら検討しました。
今年度は受入企業48社で、大学19校から約116名の学生を受け入れる予定です。コロナ禍におけるテレワークの普及により個々の仕事が見えにくくなり、ますますそれぞれの生き方や能力が重要な社会となっていきます。インターンを通して経営者自身も企業の発展を目指し、1人でも多くの学生に働く楽しさや意義を伝えていきます。
◆同友会インターンシップの意義
企業
- 経営者が経営理念を改めて考えるきっかけに
- 自社の人材育成につながる
・受け入れ態勢を整備することで、社内体制の見直しの契機に
・学生に仕事をわかりやすく説明するため、経営理念と自らの仕事のかかわりを見直す
・社会や地域に貢献することの理解が全社的に広がり、仕事に誇りが持てるように - 中小企業についての正しい理解が広がり、学生が就職対象として考えるように
学生
- 自立を促すきっかけに
- 働くことの楽しさを実感
- 就職、企業のイメージが豊かに
- 問題意識が磨かれ、学習意欲が引き出される
- コミュニケーションの大切さを理解する
- 中小企業を知る機会に
- 企業家精神を学ぶことができる
学校
- インターンシップでの学生の変化や成長を通して、進路指導にあたる先生や学校自体の視野が広がり、学校教育の内容をより充実したものに
- 中小企業についての理解を広げ、日本の経済社会についての認識を深める
- 地域の課題を中小企業と一緒に解決する契機に
地域
- 学生が地域に根づく産業や企業を知る機会となり、地域の雇用につながる
- 地域の教育機関、行政、地元企業の連携が促進され、産官学が一体となった地域づくりにつながる
同友会
- 同友会活動への理解を広げ、教育機関・行政・地域との信頼関係を築いていくものに
- 中小企業についての正しい理解が広がり、学生が就職対象として中小企業を考えるように
- 同友会理念を社会に広げ、企業観・社会観・職業観などを変えていくことに