活動報告

名古屋第2支部、名古屋市条例推進協議会共催(1月24日)

中小企業の未来のカギは地域

鈴木 健司氏  日本福祉大学経済学部・准教授

※岡田正大(2015)「あらたな企業観の行方 CSVは企業の競争優位につながるか」『Harvard business review』40(1), pp.38-53.の本文および図表1,2を参考に鈴木が加工した。(鈴木准教授の資料より転載)

CSV(共通価値)と中小企業の地域活動

名古屋第2支部と名古屋市条例推進協議会の共催で、「中小企業の未来のカギは地域」をテーマに学習会を行いました。報告者に日本福祉大学の鈴木健司准教授を迎え、35名が参加しました。

鈴木氏からは「CSV(共通価値)と中小企業の地域活動」を主題に、「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)は、直感的にわかるが、本当にそうなのか」、「地域における企業の役割からみた、政府の役割は」を基本的問題関心にすえた上で、CSVを提唱した経営学者マイケル・ポーターの競争優位戦略の紹介から、CSVが主張された背景、その推進方法、経済的価値の創出への優位性に関する検討、中小企業におけるCSV概念の有用性について地域活動を切り口に報告。特に、CSV概念の中小企業経営における有用性として、自社の経営を見直す視点から、地域活動が自社にどのように影響するのか、反対に自社がどのような影響を地域社会に与えているのかというソーシャル・インパクトを考えることを強調します。

また、本業を通じた地域活動を行うことが、結果として自社の競争優位を考えるきっかけとなる可能性や、CSVが自社の経営理念や経営方針を従業員に浸透させる上で有用と考えられること、さらにCSV活動が補助機能となり、世界的潮流となっているSDGsを経営戦略に落とし込みやすくなる点が指摘されました。

自社の役割や社会への影響を改めて考える

参加者からは、「漫然と身の回りの地域を見るのではなく、どのような問題があるのかを丁寧に観察していきたい」「自社の事業活動が、社会に対してどのようなインパクトを生んでいるのか。企業のあり方を変化させていきたい」など、課題の把握や事業変革に向けたコメントが寄せられました。

世界的にも「地域」がキーワードとなる時代のなかで、改めて地域における中小企業の役割や向けられている期待を深め合った学習会となりました。