活動報告

第22期役員研修大学 第1講座(5月16日)

同友会運動の歴史と理念(1)
全中協から「労使見解」まで

加藤 昌之氏  (株)加藤設計

役員への期待を語る加藤氏

第22期役員研修大学・第1講座、加藤昌之氏の報告の概要を紹介します。

歴史に学ぶ意義

同友会運動の歴史を学ぶ意義は次の3点にあります。

第1に、同友会が一貫して目指してきた自主的努力による自立型企業づくりの姿勢を今日の時代にふさわしい企業づくりに創造的に適用し、自社変革を遂げるためです。

第2に、経営における労使関係を重視し、人間尊重の経営に努力してきた意味を歴史的過程から学び、その成果である「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」を経営に生かしていくためです。

第3に、同友会の「3つの目的」を時代に合わせて捉え直し、同友会運動の実践を通じて自主・民主・連帯の精神を深め、新しい中小企業運動を創造していくためです。

戦後復興による大企業優先の政策や経済の二重構造を背景に中小企業問題が発生する中、同友会の前身である全日本中小工業協議会(全中協)が設立。特定の政党や団体に偏らず、経済的に依存しない、民主的運営に努めるなどの理念を受け継ぎ、1957年に日本中小企業家同友会(現・東京同友会)が誕生。中小企業の自主的な努力と団結の力で、中小企業の自覚を高め、中小企業を守り、日本経済の自主的で平和的な発展を目指す現在の運動の原点が確立されました。

人間尊重の精神による同友会運動の発展

1975年に同友会は「労使見解」を発表。その要点は、経営者の責任(経営姿勢の確立、経営者の覚悟)、経営指針の成文化と実践、社員を最も信頼できるパートナーとして共に育ち合う教育、外部経営環境の改善に労使が力を合わせるの4点です。同友会理念の自主・民主・連帯の精神は人間尊重経営の基本となる考え方で、その実践が「労使見解」に結実します。

「自主」とはかけがえのない人生の全面開花で人間らしく生きること(個人の尊厳)、「民主」は生きることの保証(生命の尊厳)、「連帯」はあてにし、あてにされる関係(人間の社会性)と捉えることができ、「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」と表現できます。人間が人間らしく生きられる社会、誰もが持っている人間の素晴らしさを発揮できる社会を、企業経営を通して実現しようということです。

同友会の歴史を学ぶことは経営の本質を学ぶことです。同友会運動の主体者として学びを実践し、新たな同友会の歴史を創っていきましょう。