活動報告

第22期役員研修大学 第2講座(6月20日)

同友会運動の歴史と理念(2)

古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ

城所 真男氏  重機商工(株)

「金融アセスメント法」から「中小企業憲章」への運動年表

第22期役員研修大学・第2講座、城所真男氏の報告の概要を紹介します。

中小企業憲章制定の意義

1980年に大型間接税反対運動が起こり、87年に売上税法案は廃案となります(89年に消費税導入)。この運動は戦後の中小企業運動史の大きな転機となり、同友会として「まず学習・研究」、「他の団体と連携を深める」という教訓を残しました。

21世紀を目前にした1993年の中同協総会では「21世紀型中小企業」づくりを提起、戦後50年を迎える95年の中同協総会では「平和・環境宣言」を採択します。いずれも中小企業の存在意義を問い直し、国民や地域からの期待に高い水準で応えようとするものでした。

2000年代に入り、銀行による貸し渋り・貸し剥がしによって中小企業は大きな影響を受けます。これも、学習していくと、国際的に活動する金融機関の自己資本比率等に関する国際統一基準を、国内のみで活動する金融機関にも適用しようとしたことが発端であることがわかり、金融機関の役割の違いによる二重基準を認める「金融アセスメント法制定運動」へ発展しました。

2002年には創立40周年を迎えた愛知同友会がオランダ・ベルギーの中小企業政策を視察したことを契機に、03年に中小企業憲章制定運動が提起されます。中小企業憲章は10年に当時の民主党政権によって閣議決定されましたが、これは「政府が中核となり」となっているのに対し、同友会が提案した憲章草案では「私たち日本国民は」と、主語(=主体者)が異なっていることも注目してほしいところです。

「地域未来創造企業」へ

その後も、2003年のイラク戦争を機に平和問題を採り上げたり、11年には東日本大震災の原発事故からエネルギーシフトを提唱したり、と様々な運動を展開してきました。

歴史を学ぶとは、「同友会的な言葉の意味や出来事をなぞって知る」ということではなく、「当時の先輩は何を求めて、どのような哲学や思想でその言葉が出てきたのか、その活動が行われたのかを深く考察し、これからの我々の活動の糧とする」ことが大切ではないでしょうか。

2022年の世界幸福度ランキングで日本は54位です。日本を幸福度の高い国にしてくための中小企業の役割として、地域循環経済や地域との共生、地域ビジョンづくり、自立型地域の創造などが挙げられます。

愛知同友会では2022ビジョンの中で「地域未来創造企業」として提起しています。国民や地域と共に歩む自立型企業で、中小企業の健全な努力が報われる経済・社会を創りましょう。