活動報告

原材料費の価格高騰調査

情勢変化を注視し価格転嫁を進める

グラフ4(価格高騰の影響×業種)

価格高騰の影響や転嫁状況

新型コロナの大流行は世界中で多くの物資の生産・供給・輸送を混乱させ、半導体・原油・木材などの価格上昇を招いています。国内では企業物価指数が2021年以降急上昇し、消費者物価の上昇も問題になっています。世界的な価格上昇はロシアのウクライナ侵攻によって今後さらに強まることが予測されます。

今回、会員企業を対象に行った原材料費の価格高騰調査によれば、原材料価格の高騰について「影響あり」「やや影響あり」の回答が全体で67.5%、業種別では製造業が91.2%、従業者数では50~99人以下で83.6%と高い数値を示しました。反面、「あまり影響していない」「影響していない」比率が高いのがサービス業で38.1%、従業者数では1~4人以下で30.4%でした(グラフ4参照)。

価格高騰分の転嫁状況は、「価格転嫁できていない」が全体で33.1%、業種別ではサービス業が42.1%、従業者数では1~4人以下が42.5%を占め、従業者が少ない企業ほど価格転嫁が困難です(グラフ5参照)。原材料・仕入価格で上昇したものは、「原油・石油等(35.0%)」「石油製品(15.4%)」「鉄鋼・鋼材(13.0%)」が上位を占め、特に従業者数の50~99人で「鉄鋼・鋼材(20.0%)」の比率が高い結果となりました。

グラフ5(価格転嫁状況×従業者数)

物価動向を注視

文章回答では、「価格決定権を持つ企業が値上げしなければ下流に居る我々の値上げにはつながらない」(建設業)、「自社ブランドの強化・確立など、価格転嫁しても納得していただける商品力が必要」(流通・商業)などの意見が寄せられました。また「エネルギーコストを下げるために再生可能エネルギーをもっと増やしていく必要がある」(製造業)、「金融緩和政策の是正、日銀の独立機能回復、生活の自給力回復」(サービス業)といった提言が出されました。

中小企業は価格転嫁を戦略的に進め、実行していくことが肝要だと言えます。この先、調達難や調達価格上昇が続く可能性もあり、社内でのコスト切り下げの対応も必要です。今後の情勢変化を注視し、企業活動や消費に影響を与える物価や経済動向を掴んでいくことが求められます。

【調査要項】

(1)調査日5月23日~31日
(2)回答企業1048社(建設業186社、製造業208社、流通商業273社、サービス業381社)
(3)平均従業員数26人