公正な競争を実現していく
3回目となる意見交換会
通算3回目の公正取引委員会中部事務所(以下、公正取引委員会)と愛知同友会の意見交換会が開催され、公正取引委員会より天井健太郎総務管理官をはじめ3名、愛知同友会からは高瀬喜照会長、加藤昌之代表理事など12名が出席しました。
まず公正取引委員会の天井総務管理官から「公正取引委員会の最近の活動状況」が説明されました。特に、下請法の運用状況については、2021年度が6万5000名の親事業者と、当該親事業者と取引のある下請事業者30万名を対象に定期調査が実施されていること。また、2021年12月に関係省庁によって取りまとめられた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づき、(1)価格転嫁円滑化スキームの創設、(2)独占禁止法の執行強化、(3)下請法の執行強化を柱に据えた取り組みが説明されました。
価格転嫁における現況
続いて愛知同友会からは、中小企業の業況を2022年8月末景況調査報告を中心に説明。その後、出席者より各社・各業界の状況、とりわけこの間の激しい物価上昇と価格転嫁について現況が報告されました。
「材料価格の上昇分は、価格転嫁も比較的し易いが、その他の費用の上昇分については交渉が難しい」、「価格交渉を行う上で根拠を整えるために残業が発生し相当のコストが出ている」、「労務費上昇、円安を理由とする価格交渉は極めて困難」、「技術進歩に対応するため、社員のリスキリングが必要で相応のコストがかかるが、そうした理由では価格交渉できない」など、未体験の水準で進む企業物価上昇への対応に各社・各業界とも苦慮する様子が相次ぐなど、中小企業の現実が率直に述べられました。
最後に加藤代表理事より、雇用と企業を守るために全力を尽くす決意が述べられた後、企業規模による利益率の格差、そこに続く賃金格差が顕著にあり続ける中で、本当の公正競争を実現していくために継続した協力関係への期待が述べられ、意見交換会の締めくくりとされました。