賃上げ企業の割合は57%
理由は ①物価高対応 ②人材確保 ③士気向上
愛知同友会では毎年、「賃金・労働調査」を行っています。今回は中日新聞社と賃金部分に関する調査を共同で行いました。
※中日新聞では3月6日朝刊1・3面で報道。
調査期間は2月20日~28日、1114社より回答いただき、会員の皆さんには3月7日に結果(速報)を配信させていただきました。
また、業種別、規模(社員)別、文書回答等は「あいどる」の「新着情報」からも見ることができます。
以下、大きな特徴点をお伝えします。(数値はすべて小数点以下四捨五入)
(1)大幅に増えた回答数
回答社数は一昨年(2021年)603社、昨年(2022年)428社に対し、今回調査では1114社と、大幅に増加しています。昨今の賃上げに関する関心の高さがうかがわれます。
(2)賃上げ企業割合と賃上げ内容(グラフ①②)
賃上げ企業の割合は57%、現状維持が42%となっています。賃上げ内容(複数回答)は、(1)「基本給の引き上げ(ベースアップ)」が61%、(2)「定期的な昇給」40%、(3)「ボーナスの引き上げ」17%、(4)「諸手当の引き上げ」15%です。
特徴として、昨年と比べて、(1)基本給の引き上げ(ベースアップ)が20ポイント上昇、(2)「定期的な昇給」は6ポイント下がっています。(3)ボーナスの引き上げ、(4)諸手当の引き上げはいずれも横ばいでした。
(3)平均賃上げ額と賃上げ率(グラフ③④)
賃上げ額は昨年のボリュームゾーン「1000~3000円」「3000~5000円」「5000~7000円」と、今年も比率は大きくは変化していません。ただ、「10000円以上」が昨年13%から20%と増えています。
一方、平均賃上げ率は、一昨年・昨年の「1~2%」「2~3%」から、今年は「1~2%」「2~3%」に「3~5%」が加わり、ボリュームゾーンとしては、やや上方にシフトしています。
(4)賃上げ原資
「十分ある」「ある程度ある」と回答した企業割合は昨年58%から56%に、「あまりない」が35%から35%と、いずれも前年と大きな変化はありませんでした。
(5)賃上げ理由(グラフ⑤、複数回答)
今回の調査では選択項目として「物価高への対応」を加えましたが、この項目に関しては60%、「人材確保」60%、「士気向上」56%となり、これらが賃上げの大きな理由となっています。
また「周りの企業が上げている」が昨年10%から14%に上昇し、「政府の要請」が昨年8%から6%に低下しました。
(6)価格転嫁に関して
「全くできていない」36%、「原材料価格はできている」49%、「現材料価格・光熱費はできている」7%、「労務費も含めてすべてできている」8%となっており、光熱費や労務費の転嫁は極めて困難なのが実情です。
これら諸経費の上昇分を適正に価格転嫁できるかどうかが、今後の賃上げの鍵となることは間違いないでしょう。