活動報告

「一社一人関わる」理解と実践が広がる

2023年度障害者雇用調査の結果より

今年5月末に実施された「障害者雇用調査」の結果を紹介します。

障害者自立応援委員会が「(障害者と)一社一人関わる運動」を掲げた2015年度の調査からの変化にも着目しています。

会員の意識の変化
~「運動の主旨に賛同し実行する」が8%増加

●障害者と共に生き働く企業づくりを推進する「一社一人関わる運動」について

障害者と共に生き働く企業づくりを推進する「一社一人関わる運動」について。2015年度と2023年度の変化

「一社一人関わる運動」の主旨に賛同し実行したいという回答は、2015年度の38%から46%へと8%増加、理解はできるが実行は難しいという回答は5%減少し、運動の方向性が適正であると確認できました。

一方で、約半数の方が、理解はできるが実行は難しいと回答しています。しかし、内訳を見ると、雇用企業の見学や実践に高い関心を示していることがわかりました。また、多くの方が「関わる」ことを「雇用する」と捉え「実行は難しい」と回答している傾向もあり、日常の中で関わるチャンスがあること、そこからも「人間性」の気づきが得られることを丁寧に伝える必要性もわかりました。

障害者雇用の変化
~一般企業で32社増加、1社の平均雇用数は2.3人→2.7人へ

障害者雇用の経験

障害者雇用の経験

2015年度は、一般企業125社で286名の障害者を雇用、1社平均は2.3人でした。2023年度は157社で419名を雇用、1社平均は2.7人でした。雇用企業数は8年間で32社増加、1社当たりの雇用数は2.3人から2.7人へ増加しました。いずれも中央値は1人で、「一社一人関わる運動」の進展が見られます。

法定雇用率は、2015年度は2.0%、2023年度は2.3%と上昇してきましたが、どちらの年度においても法的義務のない企業による雇用が約6割を占めており、小規模企業の地域に根差す実践の結果が現れているものと見られます。

●障害者雇用企業の法的義務の有無

障害者雇用企業の法的義務の有無

雇用企業に見る働きやすい環境整備
~会員企業の特徴は人に合わせた工夫や配慮

2015年度も2023年度も同様の傾向にありますが、回答数が増加したのは「適性にあった配慮」「本人に適した仕事」「治具の工夫」「就労時間の配慮」など、その人に合わせた工夫や配慮がその要因でした。また、「社内での学習会」「支援機関の活用」も増加しており、障害を正しく理解して、企業風土を整えようとする傾向がうかがえます。

今回は、障害者自立応援委員会が大切にしている「経営者が障害者本人と直接関わる」という設問を入れ、27%の「関わっている」との回答を得ました。半数が法的義務のない企業ですが、規模に関わらず、トップが本気で関わる中で人間尊重の風土が醸成されていくものと考えられます。