新しい常識をつくる
~適切な転嫁のための価格交渉
自由で公正な競争ができる環境づくり
通算4回目の公正取引委員会事務総局中部事務所(以下、公正取引委員会)と愛知同友会の懇談会が開催され、公正取引委員会より岡朋史中部事務所長と、同事務所より齋藤誠誉下請課長、林伸明総務課総務係長の3名、愛知同友会からは高瀬喜照会長、加藤昌之代表理事など13名が出席しました。
まず岡事務所長から、長くデフレが続いたが、物価が上昇すれば賃金を引き上げることは経済学的にも自明であり、我が国の認識を今こそ変えていくべきである旨のあいさつがありました。
高瀬会長は、優越的地位の濫用のない商習慣が望ましいことや、活力のある社会をつくっていくためにも自由で公正な競争ができる環境が必要であることを指摘しました。
価格交渉の指針が出される
次に齋藤下請課長より「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」において、発注者として採るべき行動として挙げられている、(1)本社の関与、(2)発注者側からの協議の実施、(3)説明・資料を求める場合は公表資料とすること、(4)サプライチェーン全体での適切な価格転嫁、(5)要請があれば協議のテーブルにつくこと、(6)必要に応じ考え方を提案すること、についての説明がありました。
意見交換では、同友会から現場の実態を紹介。価格交渉の過程で利益構造や品質情報の開示も求められること。供給網の途中で目詰まりを起こし、価格が変えられない悩み。代金の分割払いを大企業に要請された体験。また、相見積で発注先が確定した後に値下げ要請が続く業界の事例など、不平等な商習慣の深刻な姿が語られました。
自由で公正な競争ができる環境づくりに向け、公正取引委員会との継続した協力関係が求められます。