活動報告

2024年賃金・労働調査

中小企業で賃上げする企業が増加するも、依然として原資調達の厳しい状況が続く

「2024年賃金・労働調査」を実施しましたので、その結果をご紹介します。(数値はすべて小数点第2位を4捨5入)

「賃上げする」67.2%

昨年の同調査結果と比較して、正社員の賃上げを「する」と回答した企業(全体)は、昨年から9.4ポイント増の67.2%になりました。また「現状維持」は同9.1ポイント減の32.6%、「賃下げする」は同0.2ポイント減の0.3%という結果になりました。

「賃上げする」と回答した企業を業種別に見ると、建設業は昨年から10.5ポイント増の65.3%、製造業は同5.7ポイント増の81.3%、流通・商業は同3.7ポイント減の63.0%、サービス業は同14ポイント増の63.3%となり、流通・商業を除いて「賃上げする」と回答した企業が大幅に増加しました。

(図1参照)

図1 正社員の2024年度の賃上げはどうしますか

平均賃上げ額の最多は「3千~5千円未満」

正社員の平均賃上げ額(月額基本給の引き上げと定期昇給)(全体)では、「1,000円未満」と回答した企業は2.6%、「1,000~3,000円未満」は18.6%、「3,000~5,000円未満」は24.9%、「5,000~7,000円未満」は16.7%、「7,000~10,000円未満」は16.1%、「10,000円以上」は21.0%となりました。

(図2参照)

図2 正社員一人当たりの平均賃上げ額

賃上げ理由の最多は「人材確保」64.8%

賃上げする理由(全体)(複数回答)では「人材確保」が64.8%で最多となり、「物価高への対応」59.2%、「士気向上」56.4%と続き、「周りの企業が上げている」が20.5%、「業績好調」14.2%、「政府の要請」6.7%という結果となりました。

(図3参照)

図3 賃上げする理由

原材料や光熱費の高騰 8割弱が業績に影響

物価高による原材料高や光熱費高騰が業績に与える影響(全体)では、「深刻な影響がある」と「やや悪影響がある」を合わせて78.8%が「影響がある」と回答しています。業種別に見ると、製造業では「深刻な影響がある」が38.5%と突出し、「やや悪影響がある」を合わせて92.6%になりました。

(図4参照)

図4 物価高による原材料高や光熱費高騰が業績に与える影響

価格転嫁は41.0%が「できていない」

コスト上昇分を価格などに転嫁できているか(全体)では、「できていない」と回答した企業は41.0%、「原材料価格はできている」が37.7%、「原材料価格・光熱費までできている」が7.1%、「労務費も含めてできている」が14.1%という結果でした。

(図5参照)

図5 コスト上昇分を価格などに転嫁できていますか

賃上げに苦しむ中小企業の声が多数

文章回答では、「賃上げは必要だと思うが、そのための利益確保が困難(建設業、総社員数1~4人)」、「原資がない中、上げたくても上げられないのが実状(製造業、同20~29人)」、「価格が上がらず利益が出にくい環境になっているのに、規制強化で管理コストが上がっている(流通・商業、同20~29人)」、「社員は定期昇給を望んでいるので、苦しい状況でも賃上げは必須(サービス業、同1~4人)」等、賃上げに対する中小企業の苦しい現場の声が多数寄せられました。

【調査要綱】

調査期間2月19日(月)~28日(水)
回答数1096社
(建設業201社、製造業205社、流通・商業225社、サービス業465社)
回答企業の平均社員数23.5人(中央値8.0人)