活動報告

愛知同友会景況調査(2024年5月期)

景気の「弱含み」続く
~長短金利DIは16年ぶりの「上昇」超過幅に

業況判断DI(全業種)

次期見通しも反転し業況判断は悪化

「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「業況判断DI」の「今月の状況」は、前回の21から20へ1ポイント「良い」超過幅が縮小しました。「次期見通し」(同)も、前回の31から22へ9ポイント「良い」超過幅が縮小しました。

「良い」超過幅の縮小は全業種に及んでおり、とくにサービス業は2桁の大幅下落です。強い先行き期待が見て取れた前回調査とは対照的です。期待に反して景気の「弱含み」が続くなかで、中小企業経営者のマインドにも陰りが見え始めているといえそうです。

金融情勢の変化に注意

文書回答には、「材料価格高騰の波を受けて利益率は低下し、実質的な収益は限界に来ている」(建設業)、「労務費の価格転嫁を交渉しているが、満足のいく結果とはなっていない」(製造業)、「実質賃金の低下で消費マインドが落ちている。流通業にとってはモノが動かなければ意味がない」(流通業)など、円安、物価上昇、賃金、借入金返済にからんだ経営状況の厳しさを訴えるものが目立ちました。

日銀の「マイナス金利解除」(本年3月19日)以後、中小企業を取り巻く金融環境にも変化が出てきています。「短期借入金利DI」は前回の5から9へ4ポイント、「長期借入金利DI」も8から11へ3ポイント「上昇」超過幅が拡大しました。「短期借入金利DI」は2008年8月期調査以来、「長期借入金利DI」は同年5月期調査以来16年ぶりの「上昇」超過水準です。

また「資金繰りDI」も前回の△17から△20へ3ポイント「窮屈」超過幅が拡大しており、資金繰りにも注意が必要な局面になりつつあることが示されました。

「金融情勢に無関心でいられた時代」が終焉したことを、中小企業経営者は強く認識する必要があります。

[調査要項]

調査日5月20日~5月29日
対象企業愛知中小企業家同友会
調査方法会員専用サイトにて配信、自計記入
回答企業1352社
(建設業231社、製造業261社、流通業345社、サービス業515社)
平均従業員26.4名(中央値7名)