▼私の父は満州に徴兵され、終戦後3年間のシベリア抑留を経験しました。子供の頃、勇ましい戦争映画を観て父に戦争のことを聞くと、「戦争はいかん」としか言いませんでした。それでも祖父とは「みんな平和を求めていたのに、何故戦争になったのか」をよく話したそうです。思想教育を受けて帰還した父と、戦争に送り出した祖父の話が合うことはなかったといいます
▼同友会設立の歴史を学ぶことで、この企業経営と平和問題の位置付けが分かるとともに、2人が話していた時期と重なる時代的背景を感じました。日常の中に戦争体験があり、その葛藤と反省が暮らしの中にあったのです
▼1973年第5回中同協総会(愛知)で採択された「同友会の生いたちと展望」の最後に「国民の大部分がねがう“平和で民主的な日本の繁栄”の中でこそ、中小企業の安定と発展が保障されることは中小企業家の実感」であり、「平和で民主的な日本経済のもとで輝きをます同友会は、中小企業家の誇りと共に発展し続けるでしょう」としています
▼「同友会3つの目的」の後段に「日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざします」。また中小企業憲章草案には「中小企業は、日本の経済の健全な発展、人類と地球の持続可能な未来に貢献し、国民の平和で安定した暮らしを実現する」としました
▼同友会運動は「人間が人間らしく豊かに生きられる社会づくり」であり、その前提に平和問題があります。日常の企業経営や暮らしの中にこそ「平和」を求める意義があり、世界の情勢が不穏である今こそ「中小企業家」としての行動が重要です。
代表理事 加藤 昌之