「環境創造業」~「環境適応業」からもう一歩飛躍する中小企業について学ぶ
出原 直朗氏 日研工業(株)
私たちを取り巻く情勢の変化
6月の広報部会は、愛知同友会の「2022ビジョン」でも唱えている「『環境創造業』~時代の変化に適応し『環境適応業』から、もう一歩飛躍する中小企業について学ぶ」というテーマで行われました。
私たちは、同友会の先輩方が作り上げた99ビジョンで掲げられた「自立型企業」「地域社会と共に」の旗印でバブル崩壊後の愛知同友会の在り方を明示し「環境適応業」をめざして奮闘してきました。しかし、20年余りを経過した現在、私たちを取り巻く状況は数多くの課題や困難が山積し、希望を抱きづらい時代になっています。
今部会では、日研工業代表取締役の出原直朗氏の報告から地域の捉え方、「環境創造業」について学びました。
俯瞰して自社を見つめ直す
出原氏は愛知同友会の金融委員会での学びを機に、過去の延長線上に自社の未来はないと気づき主体的に行動するようになったといい、常に「読む力、問う力、つなぐ力」を意識し行動をしているとのことです。そんな出原氏はグーグルマップで自社の位置を見ていた時、社員が自社から3~5km圏内に住んでいることに気づき、「地域」を強く意識し始めたといいます。
また、子育て中の社員が遠くの保育園に送り迎えをする姿を目にし、働きやすい環境を整えるため自社の近くに保育園をつくろうと発想。社会的課題である待機児童の問題も学び、地域にどれだけ子どもがいるのかをリサーチし、建設に踏み切ったといいます。初めの3年間は苦しい日々だったそうですが、現在では2つの保育園を運営しているとのことです。
地域に認めてもらえる企業を常に意識し、「こどもおしごと体験」や、地域のお祭りの企画運営を通じて、地元に価値を提供することなしでは付加価値を生まないと考え行動していると、出原氏は語りました。
出原氏の報告と、今部会の討論テーマ「地域とは、環境創造業とは」の問いから、地域とは「ビジネスの場」という考えではなく「共に生きていく場」と捉えることが重要であること。また会社のライフステージを考え、現状維持を続けるだけでは企業が衰退してしまうことを、改めて学ぶ機会となりました。
(株)谷野宮組 大関 康広