景気回復の兆しが見えない中で奮闘する中小企業
愛知同友会では2024年夏季賞与調査を行いました。インフレや物価高、販売不振など中小企業の厳しい経営環境が明らかになりました。以下に詳細をお知らせします。
(数値はすべて小数点以下第2位を四捨五入)
製造業と流通・商業が前年平均値を下回る
今夏の正社員の賞与支給について、全業種平均で「支給する(支給した)」と回答した割合が80.1%(グラフ①参照)となり、前年同月期の調査結果と比較して0.7ポイント増となりました。
平均賞与額は前年同月期の調査結果と比較して、全業種で992円(0.3%)増の342,537円となりました。業種別に見ると、建設業は36,780円(11.1%)増の367,674円、製造業は11,513円(3.3%)減の332,531円、流通・商業は39,031円(10.4%)減の335,678円、サービス業は16,373円(5.1%)増の337,630円となり、製造業と流通・商業は前年を下回りました。
賞与の支給額は全体で「30~40万円未満」の回答が最多(33.5%、グラフ②参照)となり、賞与の支給月数は全体で「1カ月~2カ月未満」の回答が最多(66.4%)となりました。
余裕はなくても社員の生活を守る
記述回答では、夏季賞与を「支給する(支給した)」企業からは、「基本的に賞与を支給する余裕はないが、社員の意欲を保つためにその都度金額を決定している(建設業、正社員数1~4人)」、「業績的には出せないが、インフレ状況の中では社員のためには出さざるを得ない(製造業、同5~9人)」等がありました。
また、夏季賞与を「支給しない」企業からは、「物価高、外注費の高騰、間接費の増加、税金の支払いで余裕が無い(建設業、同1~4人)」、「2期連続で赤字のため、賞与を払うことができない。(製造業、同1~4人)」等が、「検討中または未定」企業からは、「算定方法が定まっていない。どのように計算しているか知りたい(製造業、同1~4人)」等の回答がありました。
今夏の賞与調査でも、景気回復の兆しが見えない非常に厳しい経済状況の中で、社員の生活を守るために資金的余裕がない中でも奮闘する中小企業家の声が数多く寄せられました。
【平均賞与支給額】
◎全体 | 342,537円(+992円) |
◎建設業 | 367,674円(+36,780円) |
◎製造業 | 332,531円(▲11,513円) |
◎流通・商業 | 335,678円(▲39,031円) |
◎サービス業 | 337,630円(+16,373円) |
※カッコ内は2023年夏季賞与平均支給額との差異
※夏季賞与を「支給する(支給した)」と回答し、かつ、平均支給額を記入した企業のみの平均賞与額
〈調査要項〉
(1)調査期間 6月10日~17日
(2)回答企業 717社(建設143社、製造182社、流通・商業140社、サービス252社)