中小企業を取り巻く環境
金利と最低賃金の上昇
通算37回目となる報道記者との情報交換会が開催され、同友会側からは加藤昌之代表理事、林康雄副代表理事(報道部長)をはじめ7名が、マスコミ側からは中日新聞、朝日新聞、日本経済新聞、共同通信、中部経済新聞から6名が参加しました。
まず景況調査(8月期)の結果として、景気は微かに改善し業況判断など3カ月後の先行きに強い期待感が持たれていること。金利の「上昇」超過幅が過去最大レベルに達し、全業種に影響が広がっていることが報告されました。
最低賃金調査(10月)では「対応済み」(77%)、「対応中」(14%)という結果が発表されました。文章回答では、価格転嫁が進まず賃上げ原資が確保できない現況とともに、「年収の壁」による就労調整が慢性的人手不足に拍車をかけているなどの声が紹介されました。
産業構造を見直す提言
情報交換では、残業規制に伴う人手不足に加え、最賃上昇で配偶者控除の枠内で働くパートの労働時間が短縮されてしまうことや、金利上昇に伴う当座貸越への影響、赤字企業にも「単価改訂」と値引きを迫る業界動向が紹介されました。賃上げ原資の確保は経営者の喫緊の課題であり、人件費などの間接費も含めた価格転嫁が大きな経営課題であることが強調され、適正な価格転嫁を法的に後押しする提案も出されました。
また最低賃金を2020年代に1500円とする賃上げ目標を前倒しする動きに対しては、経済活動を持続できるエビデンスを示すこと、中小企業が持続的に賃上げできるよう、この国の構造を抜本的に見直す必要があるとの率直な提言も行われました。