「情報創造」を学び「伝力」を養う
~自社の発展とともに地域へ発信
加藤 三基男氏 サン食品(株)

産業構造の変化にどう対応するか
10月度広報部会ではサン食品社長の加藤三基男氏の実践報告から学びました。
こんにゃくの製造販売をしている同社は、1億総中流といわれた30年前は主に地元の大手スーパーに商品を販売していました。この30年で産業構造は大きく変わったにもかかわらず、同じ製品やサービスを提供していた同業他社の多くが倒産しています。加藤氏は自社をどう変化させていくかを常に考えながら複数のアンテナを高く立て、情報を集めています。
情報を集めるには同友会の会合での仲間の話や景況調査、年度初めに配布される「情勢と展望」が有効です。加えて中小企業白書や新聞、最近はSNSからも多くの情報を得ることができます。
情報は発信した所に戻ってくるともいい、情報を集めたければ、とにかく情報を発信することが大切です。富の格差が広がる現在、同社では価格競争に巻き込まれるマス層などは狙わず、トップ1%の富裕層向けに健康志向で美味しく自社でしかできない製品(無添加・機能性表示食品)を販売する戦略を立て、生成AIを活用し集めた情報を咀嚼して選別することで付加価値の再構築をしています。
効率良く情報を届けリピート性を高める
情報の伝え方は印刷物からテレビへ、またデジタルツールへと変化しています。テレビのように不特定多数でなくSNSを活用することで、属性にマッチした分野にのみ情報発信ができるようになり、リピート性や効果も高くなっています。「蝶に囲まれて生活したければ、タモ網で蝶を追うのではなく、蝶が好む花壇をつくること。そして、どんな花壇をつくるのかを考えることがすなわちビジョンを考えることになる」という加藤氏の言葉が印象的でした。
加藤氏は社長の役割について「変化を恐れず会社を変化させること」だといいます。そのために、(1)外部環境を知る【集】、(2)経営指針の成文化(10年ビジョン)【考】、(3)行動して発信【伝】が必要で、情報こそがビジネスの羅針盤だとまとめられました。
最後に日頃の会合を例に、報告者の話から情報を集めることが【集】であり、グループ討論での「自社ならどうするか」「どう生かせるか」と考えることが【考】、そして「明日から何をしますか」で行動(発信)をすることが【伝】になっていると解説され、本年度の広報部会の重点項目につながると思いました。
(有)ソフィア企画 石塚 智子