厳しい経済状況下で、生き残りをかけて闘う中小企業
「2025年賃金・労働調査」を実施しましたので、その結果の特徴点を概括して紹介します。(数値はすべて小数点第2位を4捨5入)
課題は賃上げの原資
正社員の賃上げでは、「賃上げする」と回答した企業は全体で78.3%。正社員の賃上げ方法では、全体で「基本給の引き上げ」が最多の60.6%。正社員の平均賃上げ額では、全体で「10,000円以上」が最多の27.9%です。正社員1人当たりの平均賃上げ率では、全体で「3%以上~5%未満」が最多の31.8%。賃上げの原資では、全体で「あまりない」「ほとんどない」が合わせて48.0%。特に製造業では「あまりない」が42.9%、「ほとんどない」が17.6%で、合わせて60.5%に達しています。
正社員の賃上げする理由では、全体で「人材確保」が最多の66.5%。賃金規定の有無では、全体で「ある」が71.4%。就業規則の見直しでは、全体で「時々、見直している」が最多の56.6%。36協定の届出では、全体で「毎年届け出ている」が最多の66.4%。正社員の時間外労働時間(月平均)では、全体で「0~9時間」が最多の40.7%。正社員の休日(年間)では、全体で「120日~129日」が最多の29.9%でした。
賃上げに奮闘努力
文章回答では、賃上げに奮闘努力する中小企業の声が多数寄せられました。以下にその一部を紹介します。
「先行き不透明な状況になっている以上、賃上げに慎重にならざるをえない」(建設業)、「建設業の休日の考え方(顧客、現場の都合)を変える必要がある。自社の会社休日を顧客に周知し、工事を断れる体制と緊急時の対応・対策を準備する」(建設業)、「今いる従業員と新規採用との賃金規定のギャップを調整するのが難しい」(建設業)、「ベースアップを試みてはいるが、『何を基準にいくら上げる』という指標が無いため、困っている」(製造業)、「社会保険がパーセンテージに応じて変化するので、賃金を上げても結局手取りは変わらない結果になっている」(流通・商業)、「多くの中小企業が昇給原資のほとんどない状態と思われる中で、メディアから発信される大企業の昇給の話題は、中小企業経営者と従業員との信頼関係にひびを入れかねない」(サービス業)。
【調査要項】
調査期間 | 3月6日(木)~16日(日) |
回答数 | 551社 (建設業92社、製造業139社、流通・商業109社、サービス業211社) |
回答企業の平均社員数 | 31.2人(中央値10人) |