原材料費高騰と販売不振の二重苦の中で奮闘
愛知同友会では2025年夏季賞与調査を行いました。原材料費高騰と販売不振の中で奮闘する中小企業の実態が明らかになりました。以下に概要をお知らせします。(数値はすべて小数点以下第2位を4捨5入)
建設業以外は昨年比増
今夏の正社員の賞与支給について、全業種平均で「支給する(支給した)」と回答した割合が80.3%(グラフ①参照)となり、前年同月期の調査結果と比較して0.2ポイント増となりました。

平均賞与額は前年同月期の調査結果と比較して、全体で10,892円(3.2%)増の353,429円となりました。業種別に見ると、建設業は28,355円(7.7%)減の339,319円、製造業は35,538円(10.7%)増の368,069円、流通・商業は24,957円(7.4%)増の360,635円、サービス業は6,888円(2.0%)増の344,518円となり、建設業のみ昨年の平均支給金額を大幅に下回りました。建設業を正社員数別に見ると、正社員数1~4人で▲45,594円、同5~9人で▲63,705円、同10~19人で+2,381円、同20~29人で▲72,800円と、小規模層が特に苦境にあると見て取れます。
賞与支給額は全体で「30~40万円未満」の回答数が最多(30.3%、グラフ②参照)となり、賞与の支給月数は全体で「1カ月~2カ月未満」の回答が最多(64.6%)となりました。

厳しくても支給したい
記述回答では、夏季賞与を「支給する(支給した)」企業からは、「非常に厳しい景況下ではあるが、支給し続けていきたい(製造業、正社員数10~19人)」、「原材料高騰の中でも基本給同様、ボーナスも増加せざるを得ない。利益を削って出している状況(サービス業、同30~49人)」等がありました。
また、夏季賞与を「支給しない」企業からは、「売り上げが上がっていないので、現時点では支給できない(流通・商業、同1~4人)」、「今のところ賞与という考えはなく、月々に還元している状況(建設業、同1~4人)」、「コロナ以降、業績が良くないので支給できていない(サービス業、同1~4人)」等が、「検討中または未定」企業からは、「原料高が激しすぎて粗利が圧迫(製造業、同1~4人)」等の回答がありました。
中小企業は現在も、原材料費高騰と販売不振という二重苦の中で奮闘しています。
【平均賞与支給額】
全体 | 353,429円(+10,892円) |
建設業 | 339,319円(▲28,355円) |
製造業 | 368,069円(+35,538円) |
流通・商業 | 360,635円(+24,957円) |
サービス業 | 344,518円(+6,888円) |
※夏季賞与を「支給する(支給した)」と回答し、且つ、平均支給額を記入した企業のみの平均賞与額。
※カッコ内は2024年夏季賞与平均支給額との比較。
〈調査要項〉
(1)調査期間:6月9日~18日
(2)回答企業:794社(建設145社、製造169社、流通・商業184社、サービス296社)