【特集 労使見解50年】
人を大切にすることが会社を強くする
松村 祐輔氏 (株)BeBlock

私は2002年の夏に会社を創業するとともに同友会に入会しました。入会当初は創業期で、とにかく売り上げづくりに奔走していました。
翌年の2003年には、私と社員2名の計3人体制の組織となりました。しかし、秋に2名の社員が同時に退職します。女性のデザイナーは、仕事のプレッシャーから体調を崩しました。営業の男性社員は、親から「仕事がハードだから本人が退職したいと言っている」と電話がありました。創業から少し軌道に乗りかけたころ、こうして欠員補充の採用も引き継ぎもできずに組織崩壊となり、大きなダメージを受けました。
この時の学びは自分自身の、社員を見ずに売り上げと利益だけを追っていた経営者の姿勢です。もっと社員の声に傾聴していたら、組織崩壊にはならなかったのではないかと、今でも後悔しています。それから同友会でしっかり学ぼうと思いました。
先輩会員から経営指針を作って発表会をした方がいいと言われ、即座に実践するも、そんなに簡単にうまくいきません。社員の反応は冷ややかでした。経営者が1人で作った経営指針をいきなり押しつけられたので、当然といえば当然です。
「人を生かす経営」ができていない自分に気づきました。それから、「人を大切にする会社」でありたいと社内外に発信していきました。
2020年に新型コロナが直撃して、4月の売り上げが前年比で半分以下になりました。少し回復しては、再び半分ぐらいの売り上げとなり、業績は厳しい状況でした。その時に社員に発信したのは、「雇用は絶対に守りぬく」ということです。仕事が激減したので、普段できていなかったマニュアル作りや新商品開発、新規事業の立ち上げに社員と共に取り組みました。結果的に、コロナ禍という難局を乗り越えることができました。
昨年、当社では2030年ビジョンを発表しました。この作成過程は、リーダーの社員25名と2日間の研修やオンラインでの議論を重ね、最終的には1枚のイラストに仕上げることができました。社員自らが考え、議論し、2030年ビジョンを編み上げることができたのは、大きな自信となりました。
これからも「人を大切にする会社」であり続けたいと思います。