地域経済の質的転換を目指す“総合的”政策提言

愛知同友会の政策提言活動は、「99ビジョン」において「地域社会と共に歩む中小企業」を掲げたことをきっかけに、2001年よりその取り組みがスタートしました。以後20年近く継続して取り組まれ、現在では県下でも唯一の中小企業と地域を巡る諸問題を総合的に扱ったものとなっています。
今年度の政策提言は、例年通りの比較的短期的かつ、中小企業経営が直面している具体的課題を扱った「重点要望項目」と、同友会運動全体における中長期的課題を扱った「重点提言項目」で、全体で349項目で構成され、地域経済の質的転換に向け、それを支える中小企業の自立化を中小企業憲章、愛知県中小企業振興基本条例の精神の具体化で実現する観点からの提言としてまとめられています。
今年度の特徴―中小企業家の見地から
今年度は、物価高、金利ある社会、賃金上昇を背景とするコストプッシュ・インフレに直面する中小企業経営への支援として、金融支援もさることながら、ブランディング、販路開拓、企業連携などの観点からの付加価値創出支援施策や、メンタルカウンセリングの予防利用への支援など69項目の要望事項がまとめられています。
また提言事項には、インフレ経済下の制度設計として、年収の壁、社会保険料負担増大の問題、下請2法改正後の実効性担保などのほか、「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、基本的人権の保護・尊重・実現の観点からの公正取引の強化を中軸に構成しています。
さらに、国民の可処分所得を向上させ有効需要を創出する制度設計を行うことや、金融機関の社会的使命遂行に向けた政策の執行、外国人労働者の人権保護に関する制度設計などについては、この間の情勢、法改正を踏まえながら、誰もが人間らしく生きていける社会を目指す中小企業家の見地からの提案となっています。
●最近の主な実現事項(全国的課題も含む)
- 「中小企業憲章」閣議決定
- 「愛知県中小企業振興基本条例」の制定および県内各自治体での同条例制定
- あいちサービス大賞の創設
- 審査請求料、特許料の軽減
- 愛知県における中小企業部の設置
- 外国人留学生の就職可能業種の限定撤廃
- 就職氷河期世代支援プログラムの策定・実施
- ビジネスと人権に関する国連指導原則に基づく政府行動計画策定への中小企業の参画
- あいち子育て女性再就職サポートセンター「ママたちの井戸端会議」対応枠の拡充
- 産業見本市出展支援制度
- 児童養護施設出身者の初月生活費支援
- あいち奨学金返還支援ネットの整備
- 県内自治体での小規模事業者登録制導入
- 「あいちサーキュラーエコノミー推進プラン」の開始
- 県内各自治体での「小学生のためのお仕事ノート」の発行
- 愛知県内保育料(2人目以降)の無償化 等
「2026年度国および愛知県への政策提言」本文掲載URL
https://www.douyukai.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/2026seisakuteigen.pdf