活動報告

愛知同友会景況調査(8月期)の概要

景況感はやや持ち直しも、乏しい「浮揚感」
~酷暑が個人消費の低迷に追い打ち

景況判断DI(全業種)2025年8月末調査

季節要因が影響

業況判断「今月の状況」は、サービス業を除きやや改善したものの、季節要因が影響している可能性があります。「前年同月比」は製造業以外でDI値が下落し、製造業と流通業は2期連続のマイナス値を示しています。「次期見通し」は「今月の状況」と同じ傾向を示しました。

景況分析会議でも、各業種とも濃淡入り混じった業況が報告され、景気の明確な方向感を見出すことはできませんでした。

建設業からは「人手不足で受注できなかったが、徐々に動きが見られ始めた」、「投資用物件は動き始めそう」、「ホテルやオフィスの内装工事需要が高まっている」との発言がありましたが、「依然として多くの計画が止まっている状況」、「戸建ては深刻。新築住宅もリノベーションした中古住宅も動きがない」、「商業店舗の内装工事需要が昨対20%減」と、状況はまだら模様を呈しています。

製造業では、自動車関係は「自動車生産台数は底堅さを維持しているが、下請部品メーカーの稼働率が低い」(自動車部品製造)、「金型部品の保全需要は高いが、新規車系案件の先送りが続いている」(金型製造)。工作機械はアメリカの関税措置の影響で「工作機械関係の停滞が続いている。試作案件も出てこない」(工作機械関係)状況です。

また「中国が半導体生産の内製化を進めるため、半導体製造装置の爆買いをしてきたが、8月に入って急に止まった」(半導体製造装置関係)などの情報が寄せられています。

景況感の悪化は一服も

サービス業では、「業況判断DI」の3指標がすべて下落しました。今夏は統計開始以降で最も平均気温が高く、「暑さで人が出歩いていない」(流通業)、「酷暑の影響で屋外催事が大幅減」(同)、「暑さが消費の足を引っぱっている」(サービス業)など、「酷暑」が景気に影響したことをうかがわせる指摘がありました。

今回調査では、2期続いた景況感の悪化に一服感が見て取れました。しかし「工事件数は変わらないが売上額が少ない工事が多い」(建設業)、「全体的に好況感がない。みんなして身を潜めている感じがする」(製造業)、「すべての業界が良くない傾向」(サービス業)など、全体として浮揚感には乏しく、景気回復にはなお時間を要すると考えられます。