中小企業の現場では
~改定最低賃金にどう対策するか

乏しい浮揚感
通算41回目となる報道記者との情報交換会が開催され、愛知同友会からは加藤昌之代表理事、林康雄副代表理事など9名が、新聞社からは中日新聞、日本経済新聞、中部経済新聞の3社の記者が参加しました。
まず愛知同友会で行った景況調査の紹介がありました。景況感はやや持ち直しているDI値が示されていますが、浮揚感が乏しい傾向があり、酷暑が個人消費の低迷に追い打ちをかけていると分析しています。季節要因の影響があるなど、各業種とも濃淡入り混じった状況が報告され、景気回復には時間を要するとの見解が示されました。
最低賃金の改定の影響
情報交換では、10月から改定された最低賃金について中小企業がどのような対策を講じているかの質問が出されました。まず大きな影響として、パート従業員の「年収の壁」による労働時間の制限があり、人手不足が更に深刻になっている状況が報告されました。対策としては、コスト構造の見直しや価格転嫁により賃上げ原資の確保が必要であり、生産効率の向上や人員配置の変更など具体的な事例が説明されました。
中小企業の実態を発信
その他、若者の働く意欲を喚起する取り組みとして、単調になりがちな製造業で、新商品開発の試みを通して士気向上を図ったり、試食会や交流会を開催して懇親を深めたりしている事例が紹介されました。
また日銀短観の結果が話題に出され、中小企業ではコストの上昇圧力が強まり、価格転嫁や利益確保が難しい状況が指摘され、現場の受け止め方や特徴が話し合われました。
マスコミ報道は、大手企業やマクロ経済の情報が多く取り上げられる傾向があります。中小企業は地域の雇用や文化を支え、そこで働く従業員は全体の7割に及びます。こうした中小企業の実態を正しく発信することは、地域課題や社会問題の解決にもつながり、マスコミとの情報交換会を継続する意義は大きいといえます。









